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キャリア

2023.04.25 08:15

私たちは未来の「よりよき祖先」になれるのか 新起業家たちが起こす「希望の共振」

「スナップショット思考」の終焉

──ここでひとつ疑問が湧いた。「私」が「私たち」へと拡張するとしたら、従来の資本主義はどのような拡張性をもちうるのか。そして、金銭的なゲインにひもづけられることが多い「成功」や「成功者」の概念も根本的に揺らいでいくのだろうか。資本主義とは、そしてこれからの「成功」のあり方とは。これらの問いを3人にぶつけてみた。

徳島:私は起業家として、事業の持続性担保のためにお金を稼いだり、投資家から資金を調達したりしています。そして経営者として、ビジネスを通じて利益を最大化するというミッションがあります。

義足をいろんな人に買ってもらえる環境をつくることは、よりよい社会につながるという信念があります。一方で、会社は資本主義の原則のうえに成り立っています。資本を集めることは限りある資源を寡占することでもあり、自分は世界にフェアネスを提供したいと思いながらもアンフェアに片足を乗せていると感じることもある。日々、折り合いのつけ方を自分なりに模索しています。
僧侶/Ancestorist 松本紹圭

僧侶/Ancestorist 松本紹圭


松本:これまでの金融中心の資本主義は限界に来ていると思います。「ダボス会議」でもステークホルダー資本主義の重要性が指摘されていましたが、地球が、人間が住むことができる場所であり続けるには、資本主義のあり方を拡張することが不可欠だというのが世界の潮流です。最近、人的資本経営が注目されていますが、これも資本主義が拡張していく流れのひとつでしょう。今後は自然資本や社会関係資本などにも広がりを見せていく。いまはその過程にあるのだと思います。

徳島:私はこれまで「資本はお金であり、資本主義は“資本イズム”だ」ととらえて違和感を覚えていましたが、確かに、資本ってお金に限りませんよね。人や幸せや社会など、いろいろなものが資本として測定可能になると、金融資本でしか測られることがなかった投資家との関係性なども変わっていくのではないかという希望が芽生えました。
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文=瀬戸久美子 写真=ヤン・ブース スタイリング=堀口和貢 ヘア= コータロー(センス オブ ヒューモア)メイク=水野優子(Bubblue)

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年6月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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