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2023.05.07 12:00

中国の小規模企業を支える投資プラットフォームMicro Connectの野望

Getty Images

香港の不動産王のエイドリアン・チェン(Adrian Cheng)や、ビリオネアの李嘉誠(Li Ka-shing)が支援するフィンテックのスタートアップ「マイクロコネクト(Micro Connect)」は3月25日、旗艦事業となる取引プラットフォームをリリースし、マカオで式典を開催した。

2021年設立のマイクロコネクトは香港に本拠を置き、世界の機関投資家による中国本土の中小・零細企業への投資を促進している。投資家は、同社の取引所を通じて中国の169都市にある2900以上の実店舗にアクセスすることができる。店舗の業種は、小売や食品・飲料、サービス、文化、スポーツなど多岐に渡る。

ここでいう中小・零細企業とは、従業員数が300人未満で年商300万元(約5800万円)以下の企業を指す。昨年3月の公式統計によると、2021年には中小・零細企業が中国のGDPの60%を占めていた。

「小規模な企業は経済への貢献度が高く、力強い成長を遂げているにも関わらず、経営者は個人の貯蓄や家族・友人からの借金などに頼らざるを得ない。我々は、彼らに最適な資本を提供し、投資家にも最適な資本を提供するソリューションを開発した」と、マイクロコネクトの共同創業者兼会長で現在61歳のチャールズ・リー(Charles Li)は話す。

マイクロコネクトの取引所は、昨年12月にマカオの行政長官によって認可された。この取引所は「Daily Revenue Obligations(DRO)」と呼ばれる新たなアセットクラスを投資家に提供する。DROはブロックチェーン技術を用いており、投資家は指定された期間における店舗売上高のうち、あらかじめ合意した割合にアクセスできる。中小企業は負債を抱えることなく新たな資本を得ることができ、投資家は段階的にリターンを得られる。

取引所のソフトローンチ後、登録した事業者はブロックチェーン上で投資家と収益を共有できるよう、90日間の営業実績と高いシステム接続性の証明をマイクロコネクトに提出することが求められる。投資家は、この間にマイクロコネクトの取引所にアカウントを作成し、投資候補に関するデータにアクセスする。これらのデータには、業界レポートのほか、セクターやブランド、所在地に基づく収益予測が含まれる。
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編集=上田裕資

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