北米

2023.05.01

中国系米国人、4人に3人が過去1年に差別経験 半数超「身の安全に不安」

コロナ禍中の2021年3月、サンフランシスコ市庁舎前でアジア系に対する差別に抗議する人々(Ray Chavez/MediaNews Group/The Mercury News via Getty Images)

米国で過去1年に人種差別を経験した中国系米国人が74%に達することが、コロンビア大学ソーシャルワーク大学院と、著名な中国系米国人でつくるNPO「百人会(Committee of 100)」のアンケート調査で明らかになった。

4月27日に公表された調査結果によると、参加した中国系米国人約6500人近くのうち、半数超が過去1年に「日常的な差別」に遭ったと回答。27%は「偏見・ヘイト(憎悪)」を経験していた。ヘイトクライムやハラスメント(嫌がらせ)との関係で身の安全に不安を感じている人は約55%に達している。

9%は身体的な脅迫や暴行を受け、7%は財産を略奪されたり損傷されたりしていた。オンラインや対面で、人種差別的な中傷や悪意のある呼び方、ハラスメントをされたことが複数回あった人は5人に1人にのぼった。

調査は米国の46州をカバーし、中国系米国人100人あまりや協力団体が地元コミュニティーで英語や中国語でアンケートを実施した。百人会によると「この種のプロジェクトとしては最初で最大」だという。新型コロナウイルス禍の前後を比べたデータはない。

中国系米国人は2021年時点で約550万人を数え、米国で最も急増している人口集団のひとつなっている。

調査では一方で、回答者の77%が米国社会に受け入れられていると感じていることもわかった。また、人種差別、犯罪、銃規制、経済が米国の直面している最も重要な課題の上位4つに挙げられたほか、79%は現在の米中関係を否定的にみていた。とくに、教育水準が高い人ほどその傾向が強かった。

百人会はパリ・ルーブル美術館の「ガラスのピラミッド」などの設計で知られる建築家の故I・M・ペイ(イオ・ミン・ペイ)によって設立され、中国系米国人の米国社会への完全な参加と、米国と大中華圏の建設的関係を促進することを目標に掲げる。

フォーブスの2023年版「世界長者番付」に入っている資産家では、TSMC創業者の張忠謀(モリス・チャン)、遠東集団の徐旭東(ダグラス・ シュー)董事長、Yahoo(ヤフー)創業者のジェリー・ヤン、Zoom(ズーム)のエリック・ヤン最高経営責任者(CEO)も百人会のメンバーに名を連ねている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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