中国経済の復活で世界の高級品市場、航空需要、海運に活気が戻る

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中国がこのほど発表した経済指標は予想を大きく上回った。新型コロナウイルス感染症対策として取られた世界で最も厳格なロックダウン(都市封鎖)からようやく抜け出した中国の力強い復活を反映している。この好調な結果はあらゆる産業や部門にとって前向きなものだが、本記事では特に世界の高級品市場、航空旅客需要、コンテナ輸送に注目したい。

第1四半期の中国の国内総生産(GDP)は前年同期比4.5%増と予想を上回った。また、3月の小売売上高は前年同月比10.6%増と2年ぶりの増加率となった。その結果、市場予想とデータの食い違いを測定する、米シティが算出する中国経済サプライズ指数は17年ぶりの高水準となった。UBSグループは今年のGDP予測を「少なくとも」5.7%に引き上げ、アナリストは「今年も消費が中国の経済回復を主導するだろう」と指摘した。

中国人の高級品購入復活は欧州の小売業者に恩恵

中国経済の復活は高級品を扱う欧州の企業にとって非常に前向きな話だ。免税店などを展開するスイスのGlobal Blue(グローバルブルー)によると、パンデミック以前、免税高級品を世界中で最も多く買うのは中国の消費者だった。2019年には世界の高級品売上のなんと3分の1、額にして930億ユーロ(約13兆7830億円)が中国人客によるもので、その大半は外国旅行時の購入だった。

その水準に戻るには2年かかるかもしれないが、多くの小売業者はすでに売上増を実感している。高級ブランドを多数傘下に持つ巨大コングロマリットLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)とHermes International(エルメス・インターナショナル)の第1四半期の売上は中国人客が戻ってきたことで急増した。ストックス欧州600指数の銘柄で今年最も好調な部門は消費財・サービスで、26%以上上昇している。次いでレジャー・旅行が24%増、小売が22%増となっている。

一方、最も好調な高級ブランドの銘柄はエルメス(年初来38.6%増)、モンクレール(同35%増)、LVMH(同32%増)だ。

先日報じられたインベスター・アラートにあるように、これらブランドの株価上昇により、フランスの上場銘柄で構成されるCAC40指数は過去最高値を更新し、4月22日にも最高値を更新した。エルメスやLVMHのほか、L’Oreal(ロレアル)も年初来36%上昇している。

「米国でテクノロジーが最高の成長部門と見られているのと同じように、欧州では高級品が投資家から最も良い部門と見られている」とUBSのアナリストはコメントしている。
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翻訳=溝口慈子

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