中国EV業界に新たな富豪、バッテリー交換「Uパワー」上場で

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電気自動車(EV)向けのバッテリースワップ技術を開発する中国のスタートアップ「Uパワー(優品車)」の会長兼CEOのLi Jiaは4月20日、ナスダック・キャピタル・マーケットに上場した同社の株価が620%急騰したことで、ビリオネアの仲間入りを果たした。

IPO価格が6ドルだったUパワーの株価は、1株75ドルまで急騰した後、43.18ドルで20日の取引を終えた。時間外取引で、株価はさらに21%下がって34ドルをつけたが、フォーブスは同社の73%を保有するLiの保有資産を13億ドル(約1740億円)と試算している。

Uパワーの株価は20日に乱高下したため、少なくとも22回取引が停止された。

Liが2013年に設立したUパワーは、目論見書によると、中国の中小の自動車ディーラーとバイヤーをつなぐ車両の調達事業を行った後、2020年にバッテリースワップ技術を事業の中核に据えた。同社のUOTTAと呼ばれるバッテリー交換技術は、鉱業から物流まで幅広い分野で応用できるとされる。

上海のコンサルタント会社Automotive Foresightのエール・チャンは、Uパワーが、バッテリー大手CATLの小規模なライバルになり得ると述べている。CATLは、物流業界向けにバッテリースワップ関連の製品やサービスを提供しようとしている。

Uパワーの2022年上半期の売上高は前年同期比615%増の430万元(約60万ドル)に達したが、これはバッテリー交換サービスの売上が伸び始めたためとされる。しかし、売上の約3分の1を車両調達事業から得ている同社は、研究開発費の増加などの要因により、2022年上半期に190万ドルの損失を計上した。

同社の株価の急騰は、急成長する中国のEV市場へのエクスポージャーを持つためとされている。シンガポールに拠点を置くDZT Researchの調査主任のKe Yanは「この会社は、中国で急激に成長しているEV業界に、バッテリー交換という興味深いコンセプトを提示している」と述べた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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