揺らぎ続ける女性ホルモンと睡眠の関係性
——生理、妊娠・出産、更年期……。揺らぐ女性ホルモンと睡眠には、どんな関係性があるのでしょう?「眠りに入る際、深部体温が下がることで、深い眠りについて脳や心身を休ませることができるんですね。生理前の黄体期は、女性ホルモンのプロゲステロンの増加によって基礎体温が高いため、深部体温が下がりにくくなり、眠りが浅くなる傾向にあります。
妊娠期も同様、プロゲステロンの働きで深部体温が高く、寝つきが悪く熟睡度が低くなる。そして産後は、新生児の睡眠リズムが形成されていないため3時間ごとに授乳やミルクが必要になりますし、女性ホルモンの分泌量がガクンと一気に下がるので自律神経も乱れて、睡眠リズムも崩れやすい。
更年期も、症状の一つであるホットフラッシュは、体温調整がうまくいかず不眠の要因にもなります。また呼吸促進作用のあるプロゲステロンや気道を支える筋肉を保つエストロゲンの減少により、睡眠呼吸障害も起きやすくなる。更年期は、寝つきが悪く、眠りが浅く、不眠に悩む女性が多いです。このように女性ホルモンのバランスの変化は、睡眠にも影響しているんですね」(パラマウントベッド睡眠研究所 塩貝 有里さん)
——年、月、日、生涯にわたって女性ホルモンが揺らぐ中、睡眠との適切な向き合い方とは?
「まずは女性ホルモンと睡眠が影響し合っていることを知っていただけたら。特に妊娠後期はいくら対策してもぐっすり眠るのは困難です。眠れないのはホルモンバランスの乱れや大きなおなかによる圧迫感などによるものなので、悩みすぎたり無理に眠ろうとせず、日中に睡眠不足を補う昼寝をするのもいいと思います。
更年期になると不眠に限らずさまざまな症状が出てくると思いますが、長年の生活習慣が積み重なった個人差があると思うので、午前中に外に出て日光を浴びたり、定期的に運動をしたり、ご自身にあったかたちで症状を和らげる対策を探ってみてください」(塩貝さん)
「できることとしては、ご自身の“生体リズム”を整えていただくことかと思います。私たちの体には1日周期の“体内時計”が備わっていて、“生体リズム”が刻まれています。排泄や自律神経、睡眠や女性ホルモンなど、いくつもの生体リズムが絡み合って存在しているんですね。単独ではなく相互に作用しているので、何か一つが乱れれば全体が乱れていくし、何か一つが整っていけば全体も整っていく。私たちは睡眠を切り口に、生体リズム、女性ホルモンにアプローチして、心身を整えるサポートをしていきたいと考えているんです」(パラマウントベッド 事業戦略部 大槻朋子さん)