上場したAnyMind、成長の土台つくった「1社目のM&A」はなぜ成功したか

AnyMindのCEO十河宏輔(撮影=曽川拓哉)

企業のECやマーケティング支援を手掛けるAnyMind Group(エニーマインドグループ)が、3月29日、東証グロース市場に上場した。
 
2023年2月に発表した四半期決算では、2023年12月期(予想)の売上高は327億4400万円(前期比32.1%増)、純利益は8400万円となる見込み。
 
同社は、2016年4月にシンガポールで創業し、世界13カ国/地域で事業を展開。社員数は1300名を数える。2022年の売り上げは247億円で、その半分以上が海外での売り上げだ。
 
この短期間での異次元の成長はいかにして生まれたのか。同社のCEOである十河宏輔(そごう・こうすけ) に、
 
1. 創業まで
2. 創業3年目まで
3. IPOまで
 
それぞれの期間のターニングポイントについて聞いた。
 

ターニングポイント1 インドでのバックパッカー旅行

2016年の創業当時、海外から事業をスタートさせる日本のスタートアップ企業はまだ少なかった。それでも十河が挑戦した理由は、バックパッカー旅行で訪れたインドでの経験にあった。
 
「いちばんの衝撃だったのは、ガンジス川流域のバラナシに行ったときのことです。10歳にも満たないような少年たちが、しつこく物を売りつけに来るんです。例えば、ミサンガを1000円で買ってくれと言う。でも高いから断ります。すると少しずつ言い値を下げていって、最終的に80円ぐらいに落ち着くのです(笑)。その諦めの悪さやハングリー精神に、こちらも思わず根負けしそうになるわけです。
 
もし彼らが大人になってビジネスを始めたら、大化けする人間もいるだろうと思いました。市場としてもいずれ伸びることは間違いないわけで、インドをはじめとしたアジアでいつか自分も事業をやってみたいと思っていました」
 
そんな十河は、実際に新卒で入社したマイクロアド(インターネット広告配信事業を展開)で、早くも2年目にベトナムでの事業立ち上げの責任者に抜擢される。その後、4年にわたって、シンガポールやフィリピン、タイと立て続けにゼロイチを成功させた。
 
そのなかで、十河は自分が持っていた夢を実現しようと動く。経営者だった2人の祖父の姿を見ながら育ち、「いつか自分も社長になりたい」と思っていたのだ。そして2016年、自ら起業することを決意する。
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文=露原直人 撮影=曽川拓哉

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