ビジネス

2023.03.27

新しい経営の流派「真ん中が『幸せ』であれば人も事業も自然に成長する」

クラシコム代表取締役社長 青木耕平(左)と令三社代表取締役 山田裕嗣(右)(写真=若原瑞昌)

個人のアイデアや強い思いを源として創業され、発展する企業がある。ECサイト「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムもその一つだ。一貫した世界観を醸成し、顧客の強い共感を得ることで、成長。創業16年目の2022年8月には東証グロース市場へ株式を上場した。その代表の青木耕平が「とても共感した」と話す組織づくりに関する本が昨年秋に邦訳・出版された『すべては1人から始まる——ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力』(トム・ニクソン著、英知出版)だ。Forbes JAPAN 2023年5月号(3月25日発売)の特集は「最高の働き方を探そう」。個人やチームの創造性を生かし、アイデアを実現していく組織づくりとは──。本誌・WEB連動企画として、同書の翻訳・監修を手がけた令三社代表取締役の山田裕嗣とともに語ってもらった。


経営は、クリエイティブフィールドの真ん中で健やかさを守る仕事

山田:青木さんが『すべては1人から始まる──ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力』を読まれ、ご自身の経営スタイルを説明するときに「ソース原理を使うとわかりやすい」と言っておられたと聞きました。

青木:僕のような経営の流派は体系的に説明されてないと感じてきました。体系的な説明がないので、「あなたが特別だからできている」とされ、再現性や持続性という観点の評価はあまり高くならない。ソース原理を知って「これで体系化された」と感じたんです。新しい真理に触れたというよりは「そうだよね」という感覚です。

山田:ソース原理の核となっているのは組織そのものではなく、その奥にある「アイデアを実現するというプロセス」に焦点を当てる視点です。「アイデアを実現するために最初の一歩を踏み出した個人」が「ソース」であり、最初の一歩によって「クリエイティブ・フィールド」という創造の場が生まれる。大きなアイデアは一人では実現できないので、他の人にクリエイティブ・フィールドに集まってもらい、アイデアの実現に向けて共に創造活動に取り組むというとらえ方をします。クリエイティブ・フィールドは参加型のコラボレーションの場であり、決して旧来的な「トップダウン」ではありません。ただ、ソースが自らの創造活動に関する自然な影響力を発揮することで、合意形成や意思決定に時間がかかるという参加型組織の課題が解決され、参加者一人ひとりの創造性を育みつつ、全体としての一貫性を保つことができます。
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構成・文=ひらばやしふさこ 写真=若原瑞昌

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