経営は、クリエイティブフィールドの真ん中で健やかさを守る仕事
山田:青木さんが『すべては1人から始まる──ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力』を読まれ、ご自身の経営スタイルを説明するときに「ソース原理を使うとわかりやすい」と言っておられたと聞きました。青木:僕のような経営の流派は体系的に説明されてないと感じてきました。体系的な説明がないので、「あなたが特別だからできている」とされ、再現性や持続性という観点の評価はあまり高くならない。ソース原理を知って「これで体系化された」と感じたんです。新しい真理に触れたというよりは「そうだよね」という感覚です。
山田:ソース原理の核となっているのは組織そのものではなく、その奥にある「アイデアを実現するというプロセス」に焦点を当てる視点です。「アイデアを実現するために最初の一歩を踏み出した個人」が「ソース」であり、最初の一歩によって「クリエイティブ・フィールド」という創造の場が生まれる。大きなアイデアは一人では実現できないので、他の人にクリエイティブ・フィールドに集まってもらい、アイデアの実現に向けて共に創造活動に取り組むというとらえ方をします。クリエイティブ・フィールドは参加型のコラボレーションの場であり、決して旧来的な「トップダウン」ではありません。ただ、ソースが自らの創造活動に関する自然な影響力を発揮することで、合意形成や意思決定に時間がかかるという参加型組織の課題が解決され、参加者一人ひとりの創造性を育みつつ、全体としての一貫性を保つことができます。