世界10カ所でドローン配送のテストを実施中の同社は、2年前に10万件の配送件数を達成し、2021年初めにはショッピングモールから家庭へのデリバリーを開始した。そして今、Wingは今後のサービス拡大に向け、ハンズフリーのピックアップ機能や、よりスマートな飛行管理システムを構築している。
これによりWingは、2024年半ばには、小さな荷物をすばやく顧客の家に届けるために、地上輸送よりも低い配達単価を実現することを目指している。
「これまでの業界は、ドローンそのものに固執し、設計や飛行テストを繰り返してきたが、効率的な配達のためにフリート全体を活用する最良の方法を見つけることはできなかった。当社は、ドローンによる配送を効率的なデータネットワークのようなものだと考えている。ソフトウェアとロジスティクスネットワークがあってこそ、ドローンが役立つと考えている」とWingのCEOのアダム・ウッドワースは話す。
Wingのドローンは、パッドと呼ばれる離着陸のハブから小売店まで飛び、荷物を届けてハブに戻るポイント・トゥ・ポイントのルートだけを飛行する訳ではない。むしろ、ニーズに応じて変化するルートに対応し、さまざまなハブで荷物を受け取って届け、必要に応じて充電するという「家に帰る必要のない空のウーバー」のような役割を果たしている。
荷物のピックアップも自動化
その際に重要な新要素として加わったのが「オートローダー」と呼ばれるドローンが自動で荷物をピックアップする仕組みだ。オートローダーは、駐車スペースの一部に収まるV字型のアームを持つ小さなタワーで、小売店のスタッフがそこに荷物をあらかじめセットしておくようになっている。ドローンが到着すると、自律的に荷物のピックアップを行って、顧客の元に飛んでいく。
「この仕組みがあれば、従業員は荷物を積むためにドローンの到着を待つ必要から解放される。配送ドライバーに荷物を渡すのと同じぐらい、業務をシンプルにできる」と、Wingの担当者は説明した。同社はこのプロセスを動画で紹介し、米国の小売店の駐車場のカーブサイドピックアップでの活用を例に挙げている。
Wingが配送用のドローンを運用する上でのもう1つのゲームチェンジャーといえるのが、飛行機のように飛ぶ能力を備えている点だ。これにより、一般的なドローンよりも少ないバッテリーで飛行することが可能になり、長時間の飛行を行える。
同社のデリバリーネットワークは、自動化されており、展開やメインテナンスが非常に簡単だという。企業がドローン配送をラストマイルに組み込むにはドローンを注文し、電源を入れ、ネットワークに接続するだけで済むとウッドワースは説明した。
これまで累計30万回のデリバリーを達成したWingは、2024年半ばまでに、自社のデリバリーサービスを数百万人の顧客が利用するものに拡大しようとしている。その上で、小売店の店舗から家庭までの配達時間の目標を15分に設定している。
しかし、問題は、その時点で米国のドローンの規制環境が整っているかどうかだと言えるだろう。
(forbes.com 原文)