2023.03.12

ついにトヨタから迫力満点GRカローラが爆誕

トヨタ GRカローラ RZ

さて、その心臓部はどうなっているのか。1.6リッター3気筒ターボは、GRヤリスのそれと基本的に同じユニットながら、最高出力は32psアップの304ps、最大トルクは370Nm。ちなみにGRカローラの車重はGRヤリスより190kg重い1470kgだから、2台の出力と車重が多少違っても、0-100の加速タイムは5秒弱とほとんど一緒。しかし、カローラのターボ・ブーストが上がるのが多少遅いため、パワーがピークに達するのは3000回転までと、実は欧米で比較されるヒョンデ・ヴェロスターNの2倍近く遅い。



そして、GRカローラの場合、最大出力に到達するのに6500回転まで回さなければならない。でも、そこから7200回転のレッドラインまで一気に引っ張れるので気持ちいい。同車の一番美味しいゾーンは3速と4速の間のレッドライン周りで、思い切り回していると、思わず微笑みが生まれる。このエンジンは回せば回すほど生きてくるので、ついついアクセルを踏みたくなる。ヤバいね。我慢がまん。

トランスミッションは、3ペダル式のでき栄えが素晴らしい6速MTのみ。特に、1速、2速、3速がカチッと入るし、ストロークが短いので、シフトフィールも気持ちいい。また、レブマッチング・システムを搭載しているため、ヒール&トゥーに失敗するようなことも、もうない。

駆動方式はラリーで培ってきた「GR-FOUR」こと、AWDを採用しているので、コーナリング性能は半端ない。センターコンソール下のダイヤルを使って、前後の配分を「6:4」「5:5」「3:7」から選択できる。

シフトノブの下にAWDの切り替えスイッチがある。

シフトノブの下にAWDの切り替えスイッチがある。


デフォルトはFF寄りの6:4だ。さらにコーナリング性能の底上げや立ち上がりのよさを狙って、前後輪とも左右の作動制限のためにトルセンLSDが用いられる。3:7のリア寄りのドライビングモードでは、テールハッピーな走行が十二分に楽しめ、気づくとニヤリとさせられている。しかし、本物の一般道用のラリーカーだから、乗り心地ははっきり言って固い。でも、この手の車両に乗る人はこの固さに文句を言わないはず。

剛性を高めたシャシーとサーキット走行に特化したサスペンション・チューニングによって、コーナーからの脱出が非常に安定し、予測もしやすい。ステアリングもピンポイントで遊びが全くない。この一般道を走るラリーカーの運転に段々と慣れてくると、ブレーキングを遅らせ、スロットルをより早く踏み込める。また、ステアリング入力とAWDシステムに任せて、5:5のトルク配分で高速コーナーを軽快に曲がれるので、自分がラリードライバーになった気分になれる。

2023年のトヨタGRカローラは、ルックスはスッキリしているけど機能的だ。また、パンチの効いた3気筒ターボエンジンと優れたハンドリングを備えて500万円強だから、トヨタの最高性能車として全世界でどんどん注目されそう。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
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