メルカリCEOが設立した「公益財団法人 山田進太郎D&I財団」が、STEM分野の女性比率を高めようと、国内の高校(理数科)・高専・スーパーサイエンスハイスクールを受験・進学予定の中高生女子に向けて抽選制の奨学金事業を始め、ことし3期目を迎える。誰にでもチャンスがある大胆な取り組みで、女性の理系キャリア選択の幅を広げている。
この奨学金を受給した高専生と、山田進太郎D&I財団の第1期学生アンバサダーを務めた大学生による座談会を開き、ジェンダーギャップ問題やこれからのキャリアについて当事者目線で語ってもらった。
参加したのは、こちらの4人。
いつからSTEMに関心をもった?
──理系のキャリアやSTEM分野に興味を持ったきっかけは。
佐久間:私は小さな頃から科学館や実験が好きでした。中学生の頃は、舞鶴高専(京都府)で「ジュニアドクター育成塾」というプログラムに参加していました。そこでは、小中学生が高専の先生の元で専門的な知識を学び、好きなテーマについて研究することができます。このプログラムを通じて、先生たちのように「高専で研究しながら、人に教える」というキャリアがあることを知りました。滋賀県には高専がないので、隣の福井県で進学をして寮生活を送っています。
大森:私は中学2年生のときに、父に勧められて映画『ゼロ・グラビティ』を観てから、宇宙に興味を持つようになりました。宇宙デブリによって宇宙船が壊されてしまうところから物語が始まるんです。とても衝撃を受けました。そこから、宇宙デブリの問題を解決したいと思うようになりました。
それと、小学生の頃から理科は好きでしたね。佐久間さんと同じように、実験が楽しくて。教科書に書いてある結果を、実際に自分の目で見ることが面白かったです。
バラティ:私は、理系のキャリアを望んで選択したというわけではないんです。インド人には「理系の方が上だよね」という意識があって。
日本で生まれ育ちましたが、それでも「理系が当たり前」という価値観の環境にいたので、この道以外の選択肢がありませんでした。
でも、理系の学問に興味がなかったわけではないです。大学で講義を受けながら、自分の興味を突き詰めて、環境工学を学ぼうと決めました。東日本大震災での経験から、自然災害に関心があったので。
子供の頃は、理科や数学は好きでも嫌いでもありませんでした。理系科目に特別なこだわりはなかったかな。