親には最初「何言ってるの?今までの勉強となにも関係ないじゃない」と言われてしまいました。それでも私はやると決めたら進むタイプの性格なので、最終的には親も理解してくれました。
男女比のばらつき 悩みのタネ
──理系分野に進学し、男女比について感じることは。
佐久間:数は少ないですが、教科ごとに女性の先生がいるので相談しやすい環境です。男女比は、学科混合クラスで男子が40人に対して女子が8人程度。学科別だと、男子が40人に対して女子が2、3人の学科もあります。一方で、男女比が3:1くらいの学科もあり、分野によってばらつきがありますね。
大森:女性の先生は、私の学年には1人しかいないです。でも、男性の先生も「男女関係なく気軽に相談に来てくれ」という感じなので、相談しやすいです。
男女比については、女子の人数が1桁の学科が2つあります。私の所属するメディア情報工学科の女子は10人くらいかな。学校全体として女子が少ないな、と感じます。
バラティ:私も学科によって男女比が大きく異なるなと気づきました。私が学ぶコースの社会工学科は女性が13人に対し男性は2人。一方で機械工学科は、20人中2人が女子です。
教員も男女の偏りが激しくて、私のコースには女性教員は1人しかいません。研究室はまだまだ男性社会で、女性が入りづらく活動しにくい環境です。
男性と対等な立場を得るために、男性的な女性や気の強い女性を演じる必要があったり、正当に評価されるために悩む女性は多いのかなと思います。
関谷:学校の先生には、半分くらい女性がいますが、STEM系の学生は本当に少ないです。
女だから舐められるんじゃないか?という意識は常にあって、攻めの姿勢は心がけています。意見をはっきり言うとか、サバサバした性格を全面に押し出すとか。「女子だから」と言われないように、自らしています。
女性への偏見に違和感
──大学生の2人が、山田進太郎D&I財団のアンバサダーになった理由は。
バラティ:私自身、女性差別に敏感で、日本に住んでいるとSNSなどで理系に対する偏見や、女子に対する差別コンテンツを見かけることが多く、残念に思っています。そういった偏見に負けない勇気を人々に与えたいというのが、アンバサダーになった理由です。任期中は、財団の公式Instagramの運営や「STEM Girls Festa」の開催などをしてきました。関谷:私は子どもの頃から、田舎で農家の家系に育ち「勉強はほどほどでいいから、結婚してくれ」と言われることに疑問を感じていました。兄と比べて扱いが違うなって。「女子だから大学には行かなくていいよ」と言われたことも。マレーシアの大学でも女子の比率が少なく、ジェンダー問題に当事者意識があったからこそ、アンバサダーに応募しました。
偏見を無くすには、知ることから
──女性のSTEM分野への進学はどうしたら増えると思いますか。近年は理工系学部で女子枠を設ける大学も出てきています。
バラティ:女子枠は「優遇じゃないか」という批判の意見もあるけれど、システムを改善するために必要なものだと思います。女性への偏見を無くすために、座談会やイベントを通じて理解をもっと広げることが大事だと考えています。大森:高専の知名度が低いのは、高専やSTEM分野での学びについて知らせる手段を取っていないからだと思います。私はオンラインより対面の方が相談しやすく感じます。