核融合エネルギーへの民間投資、すでに公的投資を上回る

2022年12月13日、LLNLの国立点火施設での実験で、発生した核融合エネルギーと反応を開始したレーザーエネルギーが等しくなる「点火」が世界で初めて達成された(Photo by Chip Somodevilla/Getty Images)

核融合エネルギーへの投資は今後、民間でもさらに広く行われるようになる。米エネルギー省(DOE)の上級顧問スコット・シューはそう発言した。

シューは、全米アカデミーズ(National Academies of Science, Engineering and Medicine)が2月16日に開催したウェビナーの席上で「(核融合)技術が成熟するなかで、民間投資家が、核融合にぜひとも投資したいと考える時期が訪れるだろう。私自身は、この変曲点に近づき始めていると感じている」と発言した。

シューは、エネルギー省で核融合エネルギー開発首席調整官を務めており、核融合エネルギーについて、エネルギー省幹部に助言を行う立場にある。さらに、民間セクターと連係しつつ、核融合エネルギーの研究・開発・デモンストレーションを推進する同省のすべての取り組みの調整を担っている。

シューは以下のように述べた。「(核融合は)以前は非常にリスクの高い種類の取り組みとみなされてきたが、今後どこかの時点で、誰もが投資する案件となるだろう。となると、問題は我々の現在地だ。マクロ的な視点で見ると、全体的には成長軌道に乗っていると私は確信している」

各国の政府は、これまで数十年にわたり核融合研究を支援してきたが、2021年にはすでに、この分野での民間投資が公共資金の投入額を上回った。McKinsey & Co(マッキンゼー・アンド・カンパニー)が先日発表した分析結果によると、民間セクターの投資家が注ぎ込んだ資金は、2021年には44億4000万ドル(約6060億円)に達した。これに対し、それ以前の5年間については、民間からの投資額はわずか15億ドル(約2050億円)にすぎなかった。

さらに、2021年の特筆すべき進展として、3年および5年移動平均で見ても、民間セクターの投資レベルが公的投資を上回ったと、シューは指摘した。

「こうした現象は、1つには特定の企業が具体的なマイルストーンに達したことが原因となっていると思われる。だが、マクロ的に見ても、成長軌道に乗り始めていると言えるはずだ」とシューは続けた。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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