シューは、全米アカデミーズ(National Academies of Science, Engineering and Medicine)が2月16日に開催したウェビナーの席上で「(核融合)技術が成熟するなかで、民間投資家が、核融合にぜひとも投資したいと考える時期が訪れるだろう。私自身は、この変曲点に近づき始めていると感じている」と発言した。
シューは、エネルギー省で核融合エネルギー開発首席調整官を務めており、核融合エネルギーについて、エネルギー省幹部に助言を行う立場にある。さらに、民間セクターと連係しつつ、核融合エネルギーの研究・開発・デモンストレーションを推進する同省のすべての取り組みの調整を担っている。
シューは以下のように述べた。「(核融合は)以前は非常にリスクの高い種類の取り組みとみなされてきたが、今後どこかの時点で、誰もが投資する案件となるだろう。となると、問題は我々の現在地だ。マクロ的な視点で見ると、全体的には成長軌道に乗っていると私は確信している」
各国の政府は、これまで数十年にわたり核融合研究を支援してきたが、2021年にはすでに、この分野での民間投資が公共資金の投入額を上回った。McKinsey & Co(マッキンゼー・アンド・カンパニー)が先日発表した分析結果によると、民間セクターの投資家が注ぎ込んだ資金は、2021年には44億4000万ドル(約6060億円)に達した。これに対し、それ以前の5年間については、民間からの投資額はわずか15億ドル(約2050億円)にすぎなかった。
さらに、2021年の特筆すべき進展として、3年および5年移動平均で見ても、民間セクターの投資レベルが公的投資を上回ったと、シューは指摘した。
「こうした現象は、1つには特定の企業が具体的なマイルストーンに達したことが原因となっていると思われる。だが、マクロ的に見ても、成長軌道に乗り始めていると言えるはずだ」とシューは続けた。