AI倫理における問題意識を共有するメンバーが集い、結成された「EAIGG(Ethical AI Governance Group)」には、現在100名を超えるエキスパートが参加している。BGVが設立したNPOが現在は堂々と一人歩きを始めた格好だ
「現在コンシューマーが利用できるチャットAI、あるいはAIによる画像生成ツールについても内容の真贋を判定して、信頼度を導き出す方法を考えなければならない」とベナモー氏は強調している。
「例えばですが、スマートフォンで撮影した写真に、それが人間の手で撮影された『本物』であることを証明するビットマップデータを付与してフェイクを見分ける方法が開発できるかもしれません。あるいはWeb3のブロックチェーン技術などを用いたデータの分散管理が、課題の解法を導き出す可能性もあると思います。AIに関わる技術を積み上げるだけでなく、正しく活用するための仕組みをつくることも私たちの大切なモチベーションなのです」
日本のアントレプレナーに期待すること
ベナモー氏はBGVの代表として、今後の数年間は日本のスタートアップの成長にもさらに注目したいと語った。米国の投資家にとって、中国はこれまで大きな市場だった。ところが近年は米中関係の緊張が高まってきたことから、中国国内でのイノベーションが内向きになりつつあるとベナモー氏は感じているようだ。日本をはじめとするアジアの国々から生まれるクロスボーダー企業が、スポットライトを浴びることのできる好機が訪れているのだ。40年以上をIT業界の第一線で過ごし、コンピュータネットワークの発展に貢献してきたエリック・ベナモー氏
コロナ禍が世界の経済、人々の暮らしにおよぼしてきた影響も落ち着きはじめたことから、ベナモー氏は「今年から来年にかけて、投資家にとっても収穫の多い時期が訪れる」との期待感を示している。BGVとしてもより積極的に仕かけていきたいと意気込む。「もしも何かが上手く行かなかった場合でも、そこから学び取ろうとする情熱があれば前に進むことができます。世界で成功することを視野に入れて、果敢に挑戦してもらいたい」と、ベナモー氏は日本のアントレプレナーにエールを送った。
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