Evinced(イヴィンスト)はウェブサイトのデジタル・アクセシビリティに関連する問題を、高度な機械学習によるアルゴリズムとコンピュータビジョンの技術により自動で素速く解析するツールを開発している。プログラムコードに潜む重大なバグをAIが瞬時に読み取り、引いては経験豊かなプログラマーが目視で確認するよりも、速く正確なバグチェックが安定して行える。米国では大手のメガバンクやSalesforce(セールスフォース)、Indeed(インディード)が同社のシステムを採用するパートナーとして紹介されている。
AiDashはAIによる衛星画像解析の技術を、地表の植生予測に役立てるソリューションを提案している
AI倫理の観点からChatGPTにも警鐘を鳴らす
日本と同様、米国でもいまジェネレーティブAIによる画像や音楽などのコンテンツ生成の技術や、ChatGPTに代表されるAIチャットの進化に注目と関心が向けられている。BGVでは多くのスタートアップと連携してAIの活用よる社会的課題の解決に取り組んでいるが、同時にAIが人や社会にもたらす倫理的な影響についても警鐘を鳴らし続けている。AIが導き出す画期的なソリューションに依存し過ぎてしまうと、大きな落とし穴に出くわす危険があるとベナモー氏は指摘している。
「AIは私たち人間が導き出せない決定を下せます。例えば機械学習により、あらゆるプログラミング言語を習得したジェネレーティブAIは目的に応じたソースコードをすばやく書けます。しかしながら、もしそのデータセットにエラーやバイアスが含まれていれば、コードが記述される過程でそれらが増幅され、結果的に脆弱性を含むコードが完成してしまいます。このことを特に、創薬の現場など人命に関わる開発においては慎重に構えるべきだと考えます。AIの力によって世の中にある多くのソリューションの自動化できたとしても、そこには倫理的な課題が残ります。これを解決するためには人間を循環のループの中に介在させて、最終的に人間が責任ある判断を下せる仕組みを形成することが肝要です」(ベナモー氏)