マスクがツイッターのCEOを辞めたらテスラ株は50ドル以下になる

イーロン・マスクのツイッター・アカウントのプライベートページ(Getty Images)

値引き前に購入したテスラオーナーは不満を示した。ヘルスケア企業の幹部で12月にテスラ・モデルY SUVを買ったヴィカス・カンナはそんな1人だ。

カンナは、モデルYに約6万5000ドル(約873万円)払い「5000ドル(約67万円)ほど損しました」とウォール・ストリート・ジャーナルに語った。「あの出来事は、会社としてのテスラを何故信じられないかを私に思い出させ、確信させただけでした」

何故マスクはテスラユーザーに嫌われるリスクを取るのか? おそらく彼は、第4四半期の配車予測40万5000台に2万5000台届かなかったことで、自社ブランドの価値提案に自信が持てなくなったのだろう。

2022年、テスラは目標の50%成長を達成できず、230万台を出荷し2021年の40%増だった。

テスラ株はますます割高に

テスラ株は1月よりさらに割高になった。年初に36.5だった株価収益率が2月15日には58.3に急上昇した。

2月15日時点のテスラの時価総額、6720億ドル(約90兆円)は、はるかに規模の大きいライバル4社を合わせた(4200億ドル、約56兆円)よりも高い。ライバルの内訳は以下のとおりだ、トヨタ(2280億ドル、約30兆円)、GM(590億ドル、約8兆円)、フォード(510億ドル、約7兆円)、フォルクスワーゲン(820億ドル、約12兆円)。

これはテスラの価値が12月末以降急上昇したことを表している。当時の時価総額は3890億ドル(約52兆円)で、ライバル4社の合計(3870億ドル)より20億ドル(約2700億円)多いだけだった。

一方、テスラの売上はずっと少ない。2022年の売上810億ドル(約11兆円)は、同じ期間にトヨタ(2790億ドル、約37兆円)、GM(1570億ドル、約21兆円)、フォード(1580億ドル、約21兆円)、フォルクスワーゲン(2840億ドル、約38兆円)が売り上げた合計金額、8256億ドル(約111兆円)のわずか9%だ。

ただ、テスラはこれらのライバルと比べてはるかに成長が早く、利益も多い。直近四半期のテスラの売上は37%増で、トヨタ(+22% )、フォード(+10%)、フォルクスワーゲン(+24%)らの直近四半期よりも成長率が高い。テスラの成長率はGMの+56%には及ばなかった。

テスラの直近四半期の利益率は非常に高く、売上純利益率は15.2%だった。これは、トヨタ(+4.7%)、GM(+7.9%)、フォード(-2.1%)、フォルクスワーゲン(+3%)を大きく上回っている。

投資家たちはテスラ株がやや割高だと感じている。株式市場調査会社のTipRanksによると、Buy(買い)21、Hold(保有継続)6、Sell(買い)3に基づく平均価格目標は199.78ドルで、2月15日の株価212ドルより6%低かった。

この価格目標は高すぎるかもしれない。2022年12月、DataTrek Researchのニコラス・コラスは、テスラの時価総額はGMとフォードの時価総額を合計した金額と一致すべきだという説を唱えた。その額は1100億ドル(約15兆円)だ。

その論理でいくなら、テスラの株価は84%安の34ドルで取引されなくてはならないことになり、私が1月に予測した50ドルを大きく下回る。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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