元テスラ車のオーナーで、かつて熱烈なファンだったと自称するボブ・パーコウィッツは、新しいテスラ車を買わない理由について「イーロン・マスクの露骨な右翼的思考やツイッターの買収騒動、そして過激な表現の自由の強調で、誤情報がますますネットに広がることを恐れています」とInsiderに語っている。
あるアナリストは、マスクの考え方はテスラのブランドに悪影響を与えると考えている。ポール・クルーグマンがニューヨーク・タイムズに次のように書いている。「テスラというブランドの顧客は、大部分が富裕な文化的リベラルで、今風なイーロン・マスクの性格に惹かれている部分があります。マスクが公然とMAGA(メイク・アメリカ・グレート・アゲイン)陰謀論を支持していることは、ほとんど考えられないほど悪いマーケティング行為であり、主要な顧客を遠ざけるために行われているようなものです」
EVユーザーはテスラのライバル車を購入している
先に私はテスラがEV分野で市場シェアをライバルに奪われていることについて書いた。テスラの米国EV市場におけるシェアは、2021年の70.5%から2022年の63.5%へと下落した。「新しい低価格の選択肢が登場し、同等かそれ以上のテクノロジーと完成度の製品を提供するようになって、テスラのポジションは変わりつつあります」とS&P Global Mobilityは書いている。その恩恵を受けた1社がFord(フォード)だ。アトランタ地区のミュージシャンであるクリス・ロマノウスキーは今年EVを買うと決心したとき、テスラを候補から外した。見た目が醜く、乗り心地が悪くうるさいと感じたためだ。
代わりに買ったのは7万ドル(約940万円)のマスタング・マッハEだった。ワシントン・ポストによると、ロマノウスキーはこのクルマを「より魅力的で乗り心地がよい」と感じたという。彼はマスタングを乗りやすいと感じており、「彼の父親はかつてキャンディー・アップル・レッドの1966年式マスタングを所有していや」と同紙は書いている。
多数のライバルが市場に乱入している。約7%のシェアを持つフォードは第2位にいる。Kia(起亜自動車)が5%で3位、Chevrolet(シボレー)とHyundai(ヒョンデ)がそれぞれ約4%を占めている。一方「Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)をはじめとする各社は高級車市場でテスラに対抗できるモデルを展開しようとしている」とワシントン・ポストは報じている。