政治

2023.02.17 14:00

フロリダ州知事が米カレッジボード批判、学校での多様性や包括性の取り組み排除

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カレッジボードへの攻撃を始める前には、デサンティス知事自身が2021年の一般教書演説の中で、AP試験における州の実績をアピールしていた。「ちょうど先週、カレッジボードが発表したデータによると、卒業する生徒のうちAP試験に合格した人の割合で、フロリダは全米2位でした」と、知事はフロリダ州の教育における「大きな前進」の一例として述べていた。

カレッジボードは、デサンティス知事の動きに対するコメントの要請にまだ応えていないが、週末、フロリダ州がAPアフリカン・アメリカ研究コースに異議を唱えたこと、そして、同社がコースのカリキュラムを更新してデサンティス知事に屈したとの指摘に対して、厳しい回答を発表した。「我々は教育機関に常に与える礼儀を持って(フロリダ州教育省に)接するという間違いを犯したが、彼らは代わりにこの礼儀を彼らの政治的意図のために利用した」と同社は声明で書き、同州のAPコースへの批判を「中傷」と呼んでいる。

フロリダ州は1月、APアフリカン・アメリカン研究コースを拒否した。このコースは、2023年から試験的に実施されているが、同州はこのコースが「教育的価値を欠く」と主張し「政治課題」を推進していると指摘した。この州の却下は、法的措置とともに、論争と抗議を引き起こした。2月1日にカレッジボードがカリキュラムの最終版を発表し、フロリダ州が反対していた「ブラック・ライブズ・マター」運動に関する要素などを削除すると、フロリダ州当局はカレッジボードに手紙を送り、このコースについて数カ月前から連絡を取っていたと主張し、変更にひと役買ったことを示唆した。これがきっかけとなり、カレッジボードは州の政治的介入なしに変更が行われたと声明を出し、フロリダ州のコース拒否を公に非難した。この背景が、デサンティス知事による同社への攻撃につながった。

APアフリカン・アメリカン研究の州による拒絶は、州の教育システムにおける社会的問題に対する認識、いわゆるウォーク(Woke)を排除しようとするデサンティス知事とフロリダ州政府の取り組みの一部であった。これまでにも「クリティカル・レース・セオリー」をはじめとする人種に関する教育の禁止、教室の図書の制限「ドント・セイ・ゲイ」と呼ばれる法律の制定など、学校での多様性や包括性の取り組みを排除しようとしている。

forbes.com 原文

翻訳=上西雄太

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