着実に広がる移住の種
庄司氏曰く、まだGWCが直接移住には繋がっていないが、企画が取材され、参加者がnoteやSNSで発信することで、「五島を知ってもらう」意味で大きな貢献をしているという。こうした人との交流が、よく「観光以上、移住未満」と表現される関係人口だ。地域に異なる視点を届け、地域経済を活性化させ、地方の魅力の発信者ともなる。その形としては、ワーケーションのほか2拠点、あるいは多拠点生活という選択肢もある。
実際、五島市には、定額制住み放題サービス「HafH」や多拠点生活プラットフォーム「ADDress」が早い段階からできており、それらを利用している人も多い。松野尾氏の実感としても、この数年で2拠点のニーズが高まっており、「移住希望者を対象とした“空き家バンク”にも、2拠点の問い合わせが増えている」という。
東京と五島を拠点とするフォトグラファーは、島で友人とゲストハウスを経営。先々で五島の魅力を伝えては、友人知人を島に招き、地元通ならではの滞在をアテンド。すると、訪れた人がまた違う友人と再訪することも多いと話す。こうして移住の種は着実に広がっている。
これらの展開は、「五島を好きになって来てほしい」という庄司氏と松野尾氏の思いにも叶っている。現在二人が掲げる移住者数の目標は、年間300人。ゆくゆくは、「自然減(出生より自然死が上回る状態)もカバーできる人たちを受け入れていきたい」という。