人口が減少するイタリア、移住者に「奨励金」を提供する町が増加中

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人口減少が続くイタリアで、そうした懸念すべき傾向に歯止めをかけるべく、町や村が移住者を呼び込むための新しい策を導入する動きがある。同国外から多くの関心を集めた「1ユーロ住宅」方式の新バージョンなどを打ち出している。

最新の動きは、イタリア南部プーリア州の端に位置する陽光あふれる町が、移住希望者に3万ドル(約420万円)を提供するというものだ。

プレシッチェとアックーアリカ・デル・カーポの2つの町からなるプレシッチェ・アックーアリカでは人口が減少する一方だ。そこで町議会は、住宅を購入し住民登録をした人に奨励金として現金を支給することで、新たな住人を呼び込もうとしている。

募集の要件


欧州のテレビ局Euronews(ユーロニュース)によると、この制度の詳細はまだ確定しておらず、近々町のウェブサイトで申し込みできるようになるという。

「申し込み要件は、個人または家族が正式な居住地を町に移し、町の不動産物件の約30%を占める1991年以前に建てられた住宅に投資すること」だという。

奨励金は不動産の購入費用や改修費用に充てることができる。

プレシッチェ・アックーアリカの歴史地区の街並みはイタリアで最も美しいといわれている。華麗なバロック様式の宮殿が並び、メイン広場には豪華な装飾が施された教会がある。

ビーチまで15分のこの町の周辺は緑が多く郵便局、銀行、スーパーマーケットもあり、英タブロイド紙Daily Mail(デイリーメール)によると、購入可能な家は古くからオリーブ栽培が行われていた地域にあり、価格は約2万5000ドル(約350万円)からだという。

同紙の記事の見出しには「自然のままのビーチにほど近い、絵のように美しいイタリアの町が、衰退しつつあるプーリアに新しい生命を吹き込もうと移住する人に2万8000ドル(約390万円)を支給する」とある。

「ルネッサンス期には広大なオリーブ畑と高級オリーブオイルで知られたプレシッチェはかつて『緑の金の街』と呼ばれ、歴史があふれる町」とも紹介されている。

現金での奨励金、格安の住宅


プレシッチェ・アックーアリカは、イタリアの行政があちこちの低迷する村や農村を再生させるために現金をばら撒く最新例だ。
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翻訳=溝口慈子

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