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中世美術品の極薄金箔「Zwischgold」の秘密が明らかに

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ズウィッシュゴールドを研究するために、研究チームはこの祭壇から少量の標本を採取して使用した。かつてスイス、ヴァレー州の山中に建てられた教会にあったもので、現在はスイス国立博物館に展示されている。クレジット: SWISS NATIONAL MUSEUM, LANDESMUSEUM ZÜRICH

スイスの研究チームが「Zwischgold」と呼ばれる中世の材料と技法の詳細を明らかにした。15世紀の芸術作品の修復作業に役立つことが期待されている。

現代の美術品収集家や学芸員にとって、時代遅れになった技法や材料が使われている何世紀も前の作品を修復することは困難な作業だ。そのような材料の中で中世で特によく用いられたのがZwischgoldだ。

Zwischgoldは金の安価な代替品であり、像、彫刻、その他の装飾品に金箔を貼ったような外見を施すために用いられた。 銀箔の層の上に金箔を重ねて薄く伸ばした層からなる。

「Zwischgoldは中世で盛んに使われましたが、これまでこの材料のことはほとんどわかっていませんでした」と、Zwischgoldの組成の研究を指揮したスイスの、パウル・シェラー研究所のベンジャミン・ワッツはいう。

先にワッツらは、Nanoscalesで論文を発表し、3D画像を作成することによって、複数の歴史的芸術品に使われていたZwischgoldの組成の詳細を明らかにしたことを報告した。

Zwischgold標本の1つはマリアと赤ん坊のイエスが描かれた15世紀の祭壇から採取された。その祭壇はアルプスの山の教会で長い時を過ごした後、現在はスイス国立博物館に展示されている。

「マリアから採取したZwischgold標本の厚さは、数百ナノメートルの桁であることは知っていました」とワッツはいう。標本があまりにも小さかったため、彼らはサイコグラフィックトモグラフィーと呼ばれる技法を用いて、材料の内部を覗き見た。

「3D画像には、基盤となっている銀の層の上に金の層が薄く、均一に伸ばされている様子が明確に映し出されています」と論文の主著者、西スイスHES-SO応用科学芸術大学のチン・ウーが述べた。ウーは美術史家兼保存科学者であり、この研究によって中世の芸術家がどうやってZwischgoldを作ったのかを詳しく理解することが可能になった。「手工具しか使えない時代にこのようなナノスケールの材料を工作できたことは驚異的です」と彼女はいう。

Zwischgoldの問題の1つは、最終的に銀が極めて薄い金の層に浸透し、腐食した際に材料を黒化してしまうことだ。同時にそれは、Zwischgoldとその下の彫像の間に隙間を作ることになる。「金属層の下の隙間が明瞭に見えたことに驚きました」とワッツはいう。

Zwischgoldについてはまだ答えの出ていない疑問がたくさんあるが、それがどのように作られ、どんな弱点があるかの理解を深めることは、この種の古代美術品の修復をする人にとって非常に役立つはずだ。

forbes.com 原文

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翻訳=高橋信夫

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