人口が減少するイタリア、移住者に「奨励金」を提供する町が増加中

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米メディアCNNは最近、「イタリア中の町が近年、起死回生を図ろうと新しい住人をひきつけるための賢い計画をこぞって立ち上げている」「荒廃した家が1ドル(約139円)以下で売られたり、即入居可能な家が破格の値段で売られたりと、熱狂的な競争が繰り広げられている」と報じている。

Googleで「イタリア、1ユーロの家」と入力するだけでその熱狂ぶりがわかる。

サルデーニャ島も参戦


地中海で2番目に大きく砂浜、青い空、エメラルド色の海が広がるサルデーニャ島が数カ月前、移住希望者に最大1万5000ユーロ(約220万円)を提供するキャンペーンを開始した。

過疎地からの人口流出と高齢化に対応するため、政府は移住支援に4500万ユーロ(約65億円)を確保し、3000人分の奨励金を提供することにした。

奨励金を受けるには、申込者は人口3000人未満のサルデーニャに移住しなければならず、プレシッチェ・アックーアリカと同様に、その奨励金は住宅の購入または改築に使用する。そして新しい住まいに定住し、到着後18カ月以内にサルデーニャに永住者として登録しなければならない。

100歳以上の高齢者が500人超いるサルデーニャは、人口10万人に対して100歳以上の人が約33人と、世界でも有数の長寿者の密集地だ。

深刻な国家的問題


しかし高齢化社会は同国全体の問題でもある。イタリア人の平均年齢は45.7歳で、2050年には50.7歳まで上昇するといわれている。

イタリア国立統計局(ISTAT)の最新の統計によると、イタリアの人口は今後減少し続けて2070年までに20%減となり、当面、回復の兆しはないと予測されている。

データによると、イタリアの人口は2030年に5790万人、2050年に5420万人、2070年に4770万人にまで減る。

2049年には年間出生数39万人に対し、死亡数が78万8000人になるとISTATは予測している。つまり死亡数は出生数の2倍だ。

過疎化が進む町や農村に新しい住人を誘致するための1ユーロの家や奨励金、その他の魅力的なインセンティブは、人口を回復させ、国の長期的な経済成長、年金政策、地政学的影響などに影響を与えている人口減少の傾向を変えようとする取り組みの一環となる。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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