働き方

2023.02.11

オフィスに戻っただけでコラボやリーダーシップが向上するわけじゃない

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2023年1月に開催された世界経済フォーラム(WEF)ダボス年次総会2023をきっかけに、在宅勤務を巡る議論が再燃している。

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、会議に際して行われたCNBCとのインタビューで、在宅勤務は「若手にとっても、自発性にとっても、マネジメントにとっても利点がない」と述べた。ダイモンは、調査やプログラミングなど、リモート勤務が合理的な業務もあるとはしたが、同氏の趣意は、おおむね在宅勤務に難色を示すものであり、他の人からも同様な意見が出ていた。

こうした考えが、完全に間違っているわけではない。自発性という点でも、マネジメントにとっても、オフィス勤務のほうが有効である可能性はある。しかし「オフィス勤務のほうが好ましい」という考えには誤った思い込みがある。みんながオフィスで働いているからといって、魔法のように自発性が高まったり、マネジメントがうまく進んだりするわけではないからだ。

たとえば、筆者が創業したコンサルティング企業、リーダーシップIQの調査「The State Of Leadership Development(リーダーシップ開発の現状)」では、たとえオフィス勤務が行われているとしても、マネージャーは、うまくコーチングを実践したりフィードバックを与えたりできず、苦労していることが明らかになっている。

従業員のうち「自分のリーダーは、どんなときでも成功を阻む障害を取り除いてくれる」と回答した者はわずか16%だ。「自分の上司は、部下が成長して可能性を最大限に引き延ばせるよう、積極的な役割を果たしている」と回答した従業員も20%にすぎない。

経営幹部たちは、オフィス勤務であろうと問題を抱えている。上級管理職(シニアマネージャー)たちに対してリーダーシップIQが実施したある調査では「自社の経営陣は、互いに意見をぶつけ合うことに抵抗がない人たちだ」という設問に対し「非常にそう思う」と答えた者はわずか14%だった。また「経営幹部の会議では、必ず最後に、やるべきこと、期限、アカウンタビリティが明確に打ち出されている」という設問に対し「非常にそう思う」と答えた経営幹部はわずか10%だった。

企業の価値観を伝えたり促進したりすることは、在宅勤務の場合よりもオフィス勤務のほうがずっとラクなはずだ。にもかかわらず、リーダーシップIQが実施した調査「Why Company Values Are Falling Short(なぜ企業理念が十分行き渡らないのか)」では「自分の直属の上司は、部下に対して、会社の価値観に責任をもつよう指導している」と回答した従業員は33%だけだった。また「非常に熟練した従業員は、会社の価値観を実践しなくても見逃されることが常にある/しばしばある」と答えた人は3分の1近くに上った。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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