では、実際に職場ではどのようなリスキリング(学び直し)が行われているのか。オンライン学習・教育サービスを展開するUdemyは、1月25日「2023年職場における学習トレンドレポ―ト」を発表。
法人向け学習プラットフォーム「Udemy Business」を利用する、世界で数千社を超える企業の学習行動データをもとに、その従業員に最も学ばれているスキルや、前年と比較して学習時間が急上昇したスキルを発表した。
ビジネススキルの学習トレンド
最も合計学習時間の多かったビジネススキルの上位10位には、主に2つの傾向が見られた。1つ目は、トップ10のうち半数が1位の「コミュニケーションスキル」に代表されるように、コミュニケーションまたはリーダーシップに関するものだということ。
Udemyはリモート勤務や、リモート勤務とオフィス勤務を組み合わせたハイブリット勤務の定着といった新形態の働き方が増えた影響もあり、役割や年齢に関係なく多くの社会人がコミュニケーションスキルを重要視していることが伺えると考察した。
もう1つの傾向は、トップ10の残りの半数がプロジェクトの管理や運用、ツールに分類されるものだということ。なかでも短いサイクルを繰り返してソフトウェアを開発する概念「アジャイル」が4位で、その手法の一つ「スクラム」が5位に入るなど、変化の速い世の中で、スピード感と柔軟性を持って目標を達成するためのスキルが並んだ。
学習時間の増加率に基づいて算出されたビジネススキルのランキングでも同じ傾向が見られ、コミュニケーションに関連するスキルでは、「非言語コミュニケーション」が前年比268%増で2位、「ビジネスコミュニケーション」が211%増で6位に。スクラムの認定資格である「Professional Scrum Product Owner(PSPQ)」が、194%増で8位に入った。
テクノロジースキルの学習トレンド
テクノロジースキルでは、Amazon Web Services(AWS)認定資格をはじめ、AWSに関係するスキルが学習時間ランキングでトップ10のうち4つを占め、AWS関連スキルへの人気が顕著に。理由としては、AWSがクラウド・インフラストラクチャサービスの市場で高いシェアを占めるようになったことがあげられるという。
急上昇スキルのランキングでは、データ分析プラットフォームの「Databricks」が、前年比2000%以上で1位に。Udemyでは、多くの企業でDXが進む昨今、企業が収集するデータ量も継続的に増加しており、集めたデータを効果的に活用するために、大量のデータを効率的に分析できる「Databricks」プラットフォームの需要が高まったことが影響したと予想した。
また近年、アジリティ向上や市場投入までの時間短縮、コスト削減などのメリットから、非IT部門の所属であってもアプリ開発を行うシチズン・デベロッパー(一般人開発者)が増加している。そうした動きを背景に、少ないプログラムコード(ローコード)でアプリを作成できるツール「Microsoft Power Platform」が5位(439%増)にランクインした。
Udemyの日本事業責任者を務めるベネッセコーポレーション 飯田智紀氏は、
「組織が発展し続けるためには、従業員の学習サポート体制を強化することが求められている。研修プログラムや学習環境の整備に加え、学習する利点や意義、学習と実務での成果を連動させる工夫も必要になる。それには業務ニーズにあった幅広いオンラインコースの提供に加え、従業員が必要なスキルを効率的に習得できるように実践型の演習を織り交ぜたり、グループでワークショップなどに取り組んだりするコホートベース型の学習も有効だ。
学習者が自身の目標や目的に向かって挑戦するなかで行き詰まったときに、組織内にラーニングカルチャーがあれば周りの必要なサポートを受けることができ、実際の仕事でも知識やスキルを活かすことができる」とコメントした。
プレスリリース