大企業は、長い年月をかけて揺るぎない評判を築き上げてきたかもしれない。だが、ライバルの新興企業のように、成長にフォーカスした体質に変化できるかというと話は別だ。
著作家のリンダ・イェイツ(Linda Yates)は新著『The Unicorn Within: How Companies Can Create Game-Changing Ventures at Startup Speed(内なるユニコーン:企業が、革新的な新規事業をスタートアップ並みの速度で作り出す方法)』の中で、大企業が自らのとてつもない規模が持つ力を活用しながら、スタートアップと同等の成長の可能性を手にする方法について、ロードマップを示している。
最近話を聞いた際に、イェイツはこう述べていた。「マリオットホテルがエアービーアンドビーを創業していたら、GMがウーバーを立ち上げていたら、あるいは、ブロックバスターがネットフリックスを創設していたら、と想像してみてほしい。こうした大企業が、ユニコーンの生みの親になっていた可能性もあるのだ」
大企業には「母艦のアドバンテージ」があると、イェイツは指摘する。これは、具体的には以下のようなことだという。「大企業には、新事業を立ち上げ、成長をけん引するために必要なアイデア、人材、資産、能力、資本、そして顧客がある。この母艦のアドバンテージを新事業に活用すれば、スタートアップの得意分野で、彼らとの競争に勝つ助けになるだろう。だが、ここでカギとなるのは、大企業には母艦のアドバンテージがある一方で、硬直化や抵抗勢力、守旧派などの、克服すべき課題を抱えていることを認識できるかどうかだ」
こうした課題についていえば、筆者が創業したコンサルティング企業リーダーシップIQが先ごろ行った調査「Managers Don't Love Innovators(会社の上層部はイノベーターが嫌い)」によると、自分が勤務している企業が、大胆な発想を持つ社員を「常に」評価していると回答した従業員の割合は、調査対象者のわずか20%にすぎなかった。
一方、「会社は、文句を言わずに指示に従う社員の方を評価している」という設問では、「常に」あるいは「たいていの場合」そうだと回答した社員が約60%に上っている。さらに、「会社の上層部は、イノベーションのためなら失敗のリスクをいとわないタイプだ」と考えている従業員は8%しかいなかった。