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「都心の森のタイニーハウス」で注目を集める

地下鉄白金台駅から徒歩数分。高級住宅街として知られるこのエリアにその家はある。建て坪は5坪、実にコインパーキング2台分程度の面積だ。

その土地に建った2階建て建築。欧米から「魅力的な日本の狭小住宅」を取材するためのチームが来日、2014年には「森をよけた住まい(飯島さんの家)」として「東京建築士会住宅建築賞」を受賞、テレビ朝日の「渡辺篤史の建もの探訪」でも取り上げられるなど、建築好きの間では知る人ぞ知る家だ。また、最近ではAirbnbで「都心の森のタイニーハウス」として大人気で、世界から旅行者が訪れている。まさに世界から注目を集める「デザイナーズ小屋」なのである。

このあまりにもユニークな狭小住宅が出現する上では、作家・角田光代氏邸などの建築でも知られる建築家で、『家づくりのつぼノート』などの著書もある西久保毅人氏と、建て主の飯島夫妻との出会いがあった。

この奇跡の家はどうやって建ったのか。

「ブログを通して出会った」数字や性能ではない信頼関係

建て主の飯島氏はこう話す。

「これから家を建てる方たちにお伝えしてもいいかなと思うのは、建築家を探す時、建築家のブログを見ることは大事、ということです。私たちは西久保さんに会う前、ブログを熟読して、『建て主同志の仲が異常にいい』ことを知りました。家が建ってしまった後でも、建築家を通じて建て主同士がつながって、ちょいちょい集まって飲んだりしているのって、普通じゃないですよね? これは後から気づいたんですが、デザインが暮らしの問題を解決する感動を知ってしまった人たちのコミュニティーが、できていたんです」

実は飯島夫妻が西久保氏に会いに行く前に、これはすごいと思ったことが一つ、あるという。

「西久保さんが建てた武蔵野市の『ISANA』という集合住宅には外階段があるんですが、その外階段の下が『近所の女の子たちの隠れ家になっている』と彼のブログに書かれていたんです。


「ニコ設計室」西久保毅人氏(写真:深野未季)

そういう事情や風景は、近所の人たちは知っていても、建築家は普通は知らない。建てた後に、その家がちゃんと町の仲間入りをしているかを気にしているこの建築家は、ちょっと普通じゃないなと思って、『この人にお願いしなければ』と直感しました。

それで、「絶対に私たちの家を建ててほしい」という気持ちを伝えるラブレターを書いて、それを持って、西久保さんに会いに行きました」


飯島氏が書いて、初対面の時に持って行った「ラブレター」。西久保氏は大切に保管している。

構成・文=石井節子

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