サービス

2023.02.09 16:30

中国Eコマース、2023年の10大トレンド

1. テクノロジー分野に対する政府の規制が成長を抑制

中国政府によるテクノロジー分野への全体的な取り締まり強化に対し、今のところ個々の規制当局は小さな措置でとどまっていますが、2023年には、テクノロジー分野での大幅な人員削減や習近平主席の「共同繁栄」計画、ライブストリーミング分野への規制強化などにより、同国のEコマースの成長は抑制されることが予想されます。

中国政府によるテクノロジー分野への規制は、同分野における人員削減や若者の高い失業率に直接的に寄与しており、結果として労働力の縮小を招いています。政府による罰金やライセンス供与の増加といった措置により、テクノロジーやエンターテインメントの複合企業であるTencentを含む様々な企業は、2022年度の第2四半期と第3四半期に収益が減少し、かなりの数の従業員が解雇されています。

一方、ゼロコロナ政策によるマクロ経済環境が不透明な中、こうした解雇を目の当たりにし、新卒の若者の多くは、イノベーションの少ない国有企業への就職を希望する傾向にあります。

2022年10月に開催された党大会では、習近平国家主席は改めて中国経済の課題として「共同繁栄」の重要性を強調しました。つまり、政府は富の再分配や慈善寄付を奨励し、富裕層の力を抑制することを目指すというのです。党大会に先だち、この政府主導による推進の影響は、すでに形として表れていました。

2022年2月、JD.comは前CEOのRichard Liu氏が、20億ドル以上の株式を慈善団体に寄付することを発表し、会社の価値=力と、個人資産の両方の縮小を行いました。そしてその数ヵ月後、北京の規制当局からの強い圧力により、Liu氏はCEO辞任に追いやられました。このように、習近平国家主席が改めて共栄主義の重要性を再確認したことから、Eコマースを含むテクノロジー企業はより多くの資金を慈善事業に充て、その成長が抑制されることが予想されます。

中国はまた、エンターテインメント業界、特にライブ配信に対する規制の強化を始めています。2022年6月22日、中国当局は全国のライブ配信者に対して新たな行動規範を発表し、「世論で注目されている話題」、「国家統一を危険にさらす」、「富を大きく見せる」などのコンテンツの作成を禁じました。

そして、2022年10月31日にはさらなる規制を導入し、著名人が特定の商品を推薦することを禁じ、「社会主義の道徳と伝統的な美徳に適合すること」を求めました。これらの規制は比較的新しいものではありますが、今後大きな政策変更が対抗策として表れない限り、オンライン販売の主要チャネルであるライブ配信は、2023年の成長が抑制される事が予想されます。
次ページ > AR試着ツールなどの新技術が展開

文=RxR Innovation Initiative

ForbesBrandVoice

人気記事