依存症は「病気、性格的な欠陥のためではない」と明らかにする研究

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私たちの社会は現在も、依存症を性格的欠陥だと考えている。依存症の人たちは、押された烙印によってしばしば大きな罪の意識と恥ずかしさを背負っている。

幸いなことに、メンタルヘルス研究者らがこの汚名を晴らし、依存症は病気であり、人格の欠陥あるいは「悪い」性格を反映するものではないことを一般の人たちに理解させるべく取り組んでいる。

Journal of Addiction and Rehabilitation Medicineに掲載された心理学者のマーク・グリフィスの論文はそうした試みの1つだ。英国ノッティンガム・トレント大学教授のグリフィスは、依存しやすい性格の神話を打ち砕こうとしている。そのために同氏は、私たち誰もが依存症に「かかる」脆弱性を持っているという不快な真実への扉を開いた。

グリフィスによると、依存的性格なるものの存在を主張する人々は、性格の特性を過大評価し遺伝、環境、物質や行動そのものの特性といった、その他の重要な要素を無視しているという。

誘惑的であっても誤りである依存的性格説は、次の2つの根拠に基づいている。

1. 一部の依存者は、複数の物質や行動に依存し、複数の常習行動をとるようになる。
2. 1つの依存を解消するために、一部の依存者は別の物質や行動に依存するようになる。

これらの理由は、ある性格特性が常習行動を予測できる依存脆弱性であると主張するには十分ではないとグリフィスは説明する。彼は自身の主張を裏づけるために、実際にそのような性格特性や予測要因が存在するためには、以下の条件を満たしている必要があることを示した研究を引用している。

1. その特性は(依存)症状の兆候より前に現れていた、あるいは依存症の直接的かつ継続的結果である
2. その特性は存症に特化したものであり、先行要因、偶然、あるいは、常習行動をともなう別の疾患や行動の結果によるものではない
3. 他の要因と識別可能である
4. 常習行動との関連性は、臨床的証拠ではなく、独立して確認された経験的証拠を通じて検証されなくてはならない
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翻訳=高橋信夫

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