イーロン・マスクの「リーダーシップスタイル」を心理学的に解説

リーダーの性格は、危機的状況の中で下す決断によって暴露されることが多い。Getty Images

Twitter(ツイッター)社員の半数をレイオフするというイーロン・マスクの決断は、1200人近くの自主退職につながった。あなたがマスクをリーダーとしてどう思うかに関わらず、Twitterが混乱に陥っているという事実に疑いはない。

学術雑誌『Personality and Individual Differences』に最近掲載された研究は、従業員がマスクをどう見ているかを理解する助けになるかもしれない。

研究によると、マスクのように評価の大きく分かれるリーダーは、「変革型リーダー」と「偽の変革的リーダー」という2つのカテゴリーに分類される。

変革型リーダーは、社会性があり人に卓越した成果を挙げる動機を与える。従業員が意欲をかきたてられ、知的刺激を受け、評価される職場を作る。その職場文化には強い倫理観がある

偽の変革型リーダーは、壮大な雄弁術と高められた自信によってカリスマ的であると認識されている。しかし、第一の動機づけは自己利益だ。この種のリーダーは自らを美化し、搾取的になりかねない。偽の変革型リーダーに仕切られた職場には、概して、操作的コミュニケーションや過剰な管理、他人のニーズ全般に対する無神経さといった非倫理的行動がまん延している

イーロン・マスクはどちらに当てはまるのか? Twitterに関して言えば、結論はまだ明らかになっていない。

リーダーの本性が明らかになるのは、危機が起きたときだと本研究は明らかにしている。この2種類のリーダーの行動が、危機的状況下でどう異なるかを以下に説明する。

変革型リーダーは、危機的状況下でリスクを負い組織を救い出す。非難やイメージ悪化のリスクを取ってでも、組織にとっての利益を優先するのが普通だ

偽の変革型リーダーは、組織の状態が安定しているときにリスクを負う傾向がある。そのリスクは主として、会社内外の重要な人々の注意を引くための策略だ
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翻訳=高橋信夫

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