Anifie CEOの岩崎洋平(左)Courtesy of the Author
吉川:メタバースというと、「Web3」の文脈で語られることが多いですが、今後どのように社会を変えていくと思いますか?
岩崎:Web3とは、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などのプラットフォーマーがインターネットを“支配”することに対する破壊的イノベーションとして生まれています。「フェイスブックが提供するAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を使ってアプリを開発する」のではなくて、「パブリック・ブロックチェーンが提供するAPIを使ってソフトウェアを開発する」時代です。
フェイスブックに限らず、Web2プラットフォームは、どの会社でも、APIを自由に変えられます。例えば、最初はみんなが入りやすいようにAPIを作っておいて、その後に、自分だけが儲かって搾取するようにAPIを作り替えることもできます。これに対して、分散化されたパブリック・ブロックチェーンがそのネットワークのルールであるプロトコルを変えるには、コミュニティの投票などを通して意思決定する必要があります。
人々の、人々による、人々のためのインターネットをつくるには、Web3しか方法がないと考えています。ブロックチェーンを使って投票をする、という「インターネット民主主義の実現」です。
吉川:このようなインターネットの将来のビジョンを考えたとき、その基盤として、どのブロックチェーンを選ぶべきかがポイントになります。AnifieではXRPレジャーを基盤としたメタバースのローンチを最近発表しました。XRPレジャーを選んだ理由は?
岩崎:Anifieではまず、規模と歴史を重視しています。大きな規模と長い歴史は、信頼であり、逆に、歴史が短く、規模の小さなブロックチェーンは、何か事故があるとなくなってしまうかもしれません。せっかくお客様のためにソリューションを開発しても、歴史が浅く、規模が小さなブロックチェーンが破綻してしまうと、我々が開発したソリューションがなくなってしまいます。
XRPレジャーは、ビットコインの創業メンバーが開発に携わっており、そのコンセプトの提唱自体は、ビットコイン以前に歴史をさかのぼります。また規模を見ても、日本の取引所で使用できるブロックチェーンとしては、XRPレジャーは、ビットコイン、イーサリアムに次いで、3番目に大きなパブリックブロックチェーンです。
その中でも、NFTが使えるものとしては、2番目に大きなブロックチェーンとなっています。このため、Anifieでは、最初にイーサリアムへの対応を完成させ、次にXRPレジャーへの対応を完成させました。
規模の次に重視しているのが、一般生活者にとっての利用のしやすさです。イーサリアムは、取引を処理するためのガス代が高く、一般生活者にはコストの面で使いにくいというデメリットがありました。
例えば、スポーツ選手のトップショットシーンを集めたトレーディングカードというような(クリプトのプロというよりも)一般生活者向けの商品を開発した場合に、トレーディングカードを買うときの手数料が5000円だと、一般生活者には手が出ません。イーサリアムに対して、XRPレジャーは圧倒的に取引手数料が安く、また安定した処理を実行してくれるため、一般生活者にとって最適な商品を開発することが可能になります。