DaanTechのキャロル・トラン氏(左)とニコラ・ラヴァレックCOO(右)
フランスの食洗機には12人用ないし14人用といった大型製品が少なくない。これに対して、ダーンテック社は若者や高齢者など1人~3人の少人数世帯の需要取り込みを狙っている。日本の都市部の住居もパリと同様、キッチンが比較的狭い。「日本では70パーセント超の人が広さ30平方メートル未満の家で暮らしている」(トラン氏)。独身のビジネスパーソンなどをターゲットに見据えるという。
現在はインターネット経由の販売が全体の9割を占めるが、日本では5割を計画。残りは家電専門店や百貨店などでの販売を見込む。価格は現段階で7万円~15万円の水準を想定している。「初年度の販売見通しは5000台で次年度は1万台、さらに翌年度は2万台と増やしていきたい」などとラヴァレック氏は意欲的だ。
「メイド・イン・フランス」を武器に
ダーンテック社は日本への製品投入を見据え、すでに日本語のホームページを開設。当面はSNSのインフルエンサーなどを活用した知名度の向上や販売ルートの確保を優先し、その後はアフターサービスなども強化したい考えだ。
ただ、気になる数字がある。内閣府の消費動向調査によると、2人以上世帯の食洗機の普及率は2022年3月時点で36.3パーセント。調査開始初年の2005年3月の21.6パーセントから上昇し、ほぼ3世帯に1世帯が食洗機を所有している計算だ。2021年の販売台数は約83万台に達した(経済産業書『生産動態統計調査』)。
一方、同じ2005年3月には11.5パーセントだった薄型カラーテレビの普及率は9割を超えている。他の主な家電製品と比べても、食洗機の浸透はさほど進んでいない。
日本の消費者がこれまで食洗機の購入をためらっていた一因は「キッチンの狭さ」とされる。だが、最近は新興の家電メーカーも相次いで参入。パナソニックもタンク式製品の販売に踏み切るなど、品揃えも充実してきた。それでも、食洗機の普及率はさほど高くない。
ボブに使われる部品はすべてフランスの企業が供給する。消費者マインドを大きく変えようと「メイド・イン・フランス」を武器に、他社との戦いに挑む。