セールスフォース、株価急落で幹部たちが続々と離脱

Photo by Stephen Lam/Getty Images

セールスフォースでは、幹部たちが続々と離脱している。

まずは11月11日、BTグループの元CEOで、2020年5月にセールスフォースのプレジデント兼CRO(最高収益責任者)に就任していたギャビン・パターソンが退任すると発表された。

さらに、11月30日の決算発表時には、セールスフォースの共同CEOを務めてきたブレット・テイラーが退任を発表。「起業家としてのルーツ」に戻りたいと述べた。この退任発表直後には、傘下のデータ分析プラットフォーム、タブロー・ソフトウェアのマーク・ネルソン(Mark Nelson)CEOが、CTOとともに退任すると発表された。

続けて12月5日には、セールスフォースが2年前に買収したスラックのスチュワート・バターフィールドCEO、および同部門の幹部2人も退任が発表された。理由は、CNBCが確認したスラックののメッセージによれば、家族と過ごす時間を増やすためだという。

こうした突然の大量離脱について、セールスフォースはこれまでほとんど説明していないものの、考えられる理由の一つは、ありふれた風景のなかに隠れているのかもしれない。同社の株価は2022年、50%近く下落した。これにより、3年分の幹部向けストックオプションがアウト・オブ・ザ・マネー(オプション取引の権利所有者が権利行使した場合に、損失が出る状態)になり、幹部にとって、長年の努力が(相対的に言えば)ほとんど報われない状況になった可能性がある。

セールスフォースは幹部への報酬として株式を提供しているが、同社ほど多くの株式を幹部に提供している企業はほとんどない。2021年、同社が株式報酬のために使った費用は、その年の売上の8%に相当した。米調査会社ファクトセットが提供しているデータによれば、これはS&P 500企業で9番目に高い比率だ。

さらに、セールスフォース社内では、その年の幹部給与の85%が、株式報酬の形態をとっていた。比較のために言っておくと、2021年のハーバード・ビジネス・レビューの記事によれば、たいていの会社の幹部の場合、株式またはオプションで支払われる給与の割合は60%にとどまっている。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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