中学生が電通マンに「脱炭素化しないと日本経済はなぜピンチか」を聞いてみた

青稜中学校の村田昊太朗さん、杉田莉香さん、土谷萌愛さん、下平直冬さん。電通のシニア・ビジネス開発ディレクターの角谷浩氏と(都内青稜中学高等学校にて。撮影=曽川拓哉)


やはり技術に強い日本企業、「CO2が出ない火」の開発も


仕事をしていていつもすごく感じるのが、今でも日本企業の技術力は素晴らしく高い、ということです。これは日本が世界に誇れるものです。

たとえば、「火を燃やせばCO2が出るのは当たり前」とみなさん、思いますよね。しかし、「JERA」という企業は、なんと「CO2が出ない火」を作ろうとしている。

また、プラスチック製造の際のCO2排出が問題になっている今、「日本スチール」という企業は「CO2自体からプラスチックを作る」という取り組みに着手し、すでに開発に成功しています。

さらに「住友林業」は京都大学との提携で「木製の人工衛星」の製造に取り組み、これももうすぐ実現されます。

また、北海道大学大学院農学研究科の小林泰男教授ら研究者は、カシューナッツの殻を餌に混ぜると牛のメタンガスが9割減ることを発見して、餌の製品化に成功しました。きっと「カシューナッツの殻」に至るまでは、ものすごく色んなものを牛に食べさせたんでしょうね(一同、笑)。

日本人が持っている技術力や、あきらめない心、創意工夫の精神は、この脱炭素という課題解決においても充分に活かすことができます。

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「カーボンニュートラル特命班」の活動を通して一番目指したいことのひとつ、それは「日本の技術力」をもう一度世界にアピールしていきたい、日本企業のサイエンスとテクノロジーの力によって世界に貢献していきたい、私たちはその黒子としてお手伝いをしたいということです。

呼称は「クライメイトチャレンジ」がいい?


この気候変動の問題について、日本ではよく「地球温暖化」という言い方をしますが、海外では「クライメイト・クライシス(気候危機)」。こちらのほうが断然、危機感がありますよね。

でも私たちは、気候危機の問題は日本企業にとってはむしろ「クライメイト・チャンス」。日本企業がもう一度世界に出ていく、貢献できるチャンスがやってきた、という考え方をしています。

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この「地球温暖化」という言葉も「クライメイト・チャレンジ」とか、前向きな言葉に置き換えていったらいいのではと個人的に思います。現実から目をそらすのはよくないですが、かといって不安ばかり煽っていても解決にはつながりませんよね。「いま実際に何ができるか?」を前向きに話し合って考えていくべきだと思うのです。
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協力=岡田麻衣子 構成・編集=石井節子 撮影=曽川拓哉

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