経済・社会

2023.01.10 08:00

中学生が電通マンに「脱炭素化しないと日本経済はなぜピンチか」を聞いてみた


──再生可能エネルギーで、本当に世界の産業や暮らしはまかないきれるのでしょうか?

再生可能エネルギーの供給率は、今はまだ確かに一部にすぎません。でも、考えてもみてください。18世紀、最初に石炭がエネルギーとして使われ出した時、誰が、世界中でここまで広がることを予想したでしょう?また、19世紀に石油が使われ始めた時も、ここまで人類が石油エネルギーに依存することになるとは、誰も思っていなかったと思うのです。

再生可能エネルギーも同じかもしれません。実用化が最近なので、今は確かに、本当にこれが石油や石炭の代替になるのか?と思いますが、時代の流れ、そして技術力の進化によっては、ダイナミックに普及する日が来るのではないかと思います。

過去の歴史を百年単位でひも解く時、「再生可能エネルギーが地球上のすべてをまかなう」、そんな時代が来てもおかしくないのでは、と思いますね。

──このように「カーボンガラパゴス」国でありつづけると、国際社会における日本はどうなるのでしょう?

2026年にEUで「国境炭素税」が導入されます。まださほど報道されていませんが、EUに対して製品を輸出する際、輸出元企業がCO2を排出していると、税金を掛けられるんです。

そうなれば、たとえば1万円の製品の売価が15000円になってしまう。価格競争力がなくなり、利益が出ないことになる。これはかなり大問題です。だから、今のうちにCO2排出量を減らしておかないと、グローバルでビジネスができなくなります。

海外の企業と取引を始める場合、初めてのミーティングでラウンドテーブルに座ったとき、開口一番、「御社はどういった脱炭素経営をしていますか?今年の実績、そして来年の計画を見せてください」なんて言われたりします。「x年後にカーボンニュートラルを目指している」ことを示すデータや資料を、必ず用意しておかないと、どれだけいいサービス、いい商品を持っていたとしても、実際の取引が始まらない。

すでに海外では当たり前になっているこんなアイスブレイクの挨拶、基本的な「目配せ」を、日本企業の多くがまだ常識にできていない。このまま何も準備せずにいれば、いつか日本は世界でビジネスができなくなる。輸入も輸出もシャットダウンされる、ということにもなりかねません。

そうなれば、大変なことになります。「脱炭素戦略」は、体力に余裕のある企業だけのブランディングや福祉活動のようなものではないのです。もはや「やらなければビジネスが立ち行かない」、もっといえば「急いでやっておかないと日本経済がヤバい」。もう、そういう時代が目の前に来ているんですね。

協力=岡田麻衣子 構成・編集=石井節子 撮影=曽川拓哉

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