「牛のげっぷ」の温室効果は? 中学生が電通特命班に聞いた温暖化の常識

青稜中学高等学校 中学3年生の下平直冬さん、杉田莉香さん、土谷萌愛さん、村田昊太朗さん。電通シニア・ビジネス開発ディレクターの角谷浩氏と(都内青稜中学高等学校にて。撮影=曽川拓哉)

電通には2021年、ビジネスの現場で日本企業に脱炭素ソリューションを提供するために「カーボンニュートラル特命班」というラボが結成された。特命班の代表を務めるのは、シニア・ビジネス開発ディレクターの角谷浩氏だ。角谷氏は錚々たる大手企業とのビジネスを何件も創出してきた開発営業のスペシャリストでもある。

Forbes JAPANでは今回、その角谷氏が作成した資料「5分でわかる脱炭素」を見ながら、中学生4名の取材班に脱炭素問題について考えてもらった。「取材班メンバー」は東京都の青稜中学高等学校、下平直冬さん、杉田莉香さん、土谷萌愛さん、村田昊太朗さんの4名(いずれも中3)である。

以下「今さら聞けない脱炭素」、ビジネスパーソンの基礎教養としての「カーボンニュートラル」を中学生諸氏とともに学びたい。

後編>> 中学生が電通マンに「脱炭素化しないと日本経済はなぜピンチか」を聞いてみた


地球温室効果ガスの5%は「牛のげっぷ」だ


「牛のげっぷが地球の温暖化を進めている」という話を聞いたことがありますか? そんなわけがないと思われるかもしれませんが、実は本当なんです。

今地球上で出されている温室効果ガスの5%は「牛のげっぷ」。しかも、二酸化炭素の27倍もの温室効果がある「メタンガス」というかなり強烈なガスなのです。

牛は世界中には15億頭くらいいます。それらが1分に1回メタンガスを出しており、実際に地球温暖化の5%の原因になっていると言われているのです。もちろん、牛はなにも悪いことをしているわけでなく、ただ草を食べて消化しているだけなのですが。

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そんなこともあって、海外では今、地球温暖化を食い止めるために乳製品や牛肉を食べないようにしよう、などという動きもあったりします。

昔はなかった「ゲリラ豪雨」


日々のニュースや生活の中でもすでに「気候変動」が進んでいることを実感できるかと思います。

毎年夏になるとニュースで毎日のように「ゲリラ豪雨」という言葉を聞きますが、この言葉が広まったのは2008年頃。その年の流行語大賞にノミネートされました。つまり皆さんが生まれた頃に一般化された言葉なんですね。

他にも河川の氾濫で家が流れたり、熱波による自然発火で大きな山火事が起きたり、北極の氷が溶けて人里近くまで流れてきたり。こういった現象は今まで人類の歴史にはなかった。それが今、世界中で起きているんですね。

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オセアニアのツバル共和国は、海に浸食されて残された土地はあとほんの少ししかない。去年11月に外務大臣が海の中で「このままでは私たちの国がなくなってしまいます。地球温暖化を止めてください!」と訴えたことが話題になりました。

また、イーロン・マスク氏のスペースXは「このままだと地球に人類は住めなくなるから火星に移住しよう」という計画を2016年の9月に発表し、「2060年までに100万人の人類を火星に移住させます」と発表しました。そんなことを言う人がいるくらい、世界では「地球はこの先やばい」という話になっているんですね。

日本でも「脱炭素」や「カーボンニュートラル」といった言葉がメディアで報道されるようになりましたが、突然「脱炭素」と聞いても、よく分からないのが正直なところだと思うんです。そもそも二酸化炭素は目に見えませんしね。
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協力=岡田麻衣子 構成・編集=石井節子 撮影=曽川拓哉

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