テクノロジー

2022.12.22 18:00

地上の暮らしと未来の宇宙開発を守る「宇宙版ロードサービス」とは?【伊東せりか宇宙飛行士と考える地球の未来#14】


せりか:ニュース等で話題になっているのを見かけることも増えたように思います。デブリ問題に対して、何か個人でできることはあるのでしょうか。

伊藤さん:ありがたいことに、そういったご質問をいただくことも増えています。皆さんが声を挙げてくだされば世界的な議論が動くこともあります。例えば、国際的な議論の場で、デブリを低減させていくためのステートメントが合意されたことは、ルール作りにおける大きな第一歩でした。

メモ
2019年に開催された国際連合宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)本委員会で、「宇宙活動に関する長期持続可能性(LTS)ガイドライン」が加盟国92カ国による全会一致で採択されました。

認知度の向上がこういうところに表れているように思います。もちろん、デブリ問題に関心がある方は、アストロスケールに入社していただくのも歓迎ですよ(笑)。

せりか:最近では、アメリカの連邦通信委員会が役目を終えた衛星は5年以内に処分しなければならない「5年ルール」を発表したのも話題になりましたね。

伊藤さん:新しい衛星が次々と打ち上がり、宇宙開発が進んでいます。こうしたなかで宇宙環境を長く使っていく機運が高まっているのは良い流れだと思います。

せりか:役目を終えた衛星の早期離脱やデブリの回収が実用化すると、ビジネスにはどのような変化があると考えていらっしゃいますか。

伊藤さん:個人的な考えですが、衛星を打ち上げると従来は約5年から10年ほど続けていた運用が短くなり、衛星運用のサイクルが増えていくと思います。何か新しいものを作るとき……例えば、自動車は地上で走行テストを実施しますが、衛星は宇宙に打ち上げてみないとテストできませんよね。衛星の運用サイクルが増えれば、実験や技術実証が進み、ビジネスや技術開発が加速していくのではないでしょうか。

今は宇宙を利用している方の多くは技術関係者ですが、宇宙滞在の機会が増えるのを見据えて、衣類や美容関連の企業も宇宙産業への進出を検討されています。パソコンはユーザーが増えたことで様々な機能が追加されていったように、宇宙も色々な使われ方がされるようになり、想像もできない世界になっていくんじゃないかと思います!


©︎小山宙哉/講談社

せりか:ワクワクしますね!宇宙環境を守ることが、未来の宇宙開発やイノベーションに繋がることがわかりました。ありがとうございました!


せりか宇宙飛行士との対談シリーズ第14弾のゲストは、アストロスケールの代表取締役 伊藤美樹さんでした。持続可能な宇宙利用の大切さをご理解いただけたのではないでしょうか。

せりか宇宙飛行士たちの熱い議論を次回もお楽しみに。

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