つくる人の手から消費者の手に届くまで、どんなルートをたどっているのか。時期や買う店によって価格が変わるのはどうして?旬とは?高齢化によって農業の担い手が減っていると聞くけど、大丈夫?
そんな素朴な疑問を、新しい農業のかたちに挑戦するふたりにぶつけました。産地と消費者をつなぐ都市型八百屋「旬八青果店」を運営する「アグリゲート」代表の左今克憲さんと、福島県国見町の農産物を都市へ届ける地域商社「陽と人」代表の小林味愛さんが語る、日本の農業の今と未来のはなしとは。
農家から食卓に青果が届くまで。農産物の新しい流通の仕組みをつくる
──そもそも野菜や果物は、地方のつくり手から都市部で暮らす私たち消費者にどうやって届けられるのでしょう?わかっているようでわかっていない、農産物の流通ルートから教えていただけますか。
左今:はい。青果業界において、生産者から消費者の手に届くまでは複雑な構造があるんですよ。通常まず、農家さんは育てた野菜や果物を、農協(JA)や地域商社のような「出荷団体」に持っていきます。そこでサイズや見た目の「規格」に沿って選別された青果は、「卸売市場」に運ばれ、競売や取引を行う「卸売会社」や「仲卸会社」によって、スーパーや八百屋など「製造・小売業者」に卸される。そして店頭に並び、やっと「消費者」の手に届く。
生産者(農家)→出荷団体(農協、地域商社)→卸売市場(卸売会社)製造・小売業者(スーパー・八百屋)→消費者
戦後からずっとこの流れは変わっていないし、変わらないでよいという合理性も消去法的ではあれど一定数はあるんだと思います。ただ、少しでも今より良くしたいという視点で眺めると問題点やそれを解決する手段も浮かびます。
問題点だけ羅列すると、例えば、市場を介すことによって常に鮮度が良いものを産地から消費地に届けられているとは限らない。要は、市場で滞留するケースがあって、本来の味が届けられなくなることがあります。
他にも、生産者さんはとにかく目の前の作業を行って出荷し、市場の上下する相場によって売上(手取り)が決まるため、やってもやっても儲からないのは市場側の買取価格が安いせいだと思いがち。でも、市場側もできれば高く売りたいので努力はしているけれどなかなか実らず、問題の本質がうやむやになったままなんです。
それから、生産者と消費者の間に介在者が多くいることで、情報の意図が異なって伝わったり解釈されたりしている面もあります。