年末年始に観たい 現役弁護士が選ぶ「おすすめの海外弁護士ドラマ」2つ

現在、弁護士を主人公としたドラマが、配信を中心に人気を得ているようだ。現役の弁護士としては、やはり気になる。ドラマなので、もちろん現実からは離れた内容も多いが、結構リアルな場面が描かれていることもある。

そして、弁護士モノの海外ドラマは、人間模様や事件を解決していくドキドキ感はもちろん、その国の抱える社会問題や文化的背景を知ることができる点でも面白い。今回は、筆者おすすめの弁護士モノの海外ドラマをご紹介したい。

「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」(2022年)シーズン1



出典:Netflixウェブサイト

まずは、韓国ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」。日本ではネットフリックスで配信中。名門ソウル大学ロースクールを主席で卒業した新人弁護士ウ・ヨンウ(パク・ウンビン)が、ソウルの大手法律事務所であるハンバダで活躍していく。ヨンウは、韓国初の自閉スペクトラム症弁護士という設定だ。

ハンバダのライバルである大手法律事務所法務法人テサンの代表弁護士であるヨンウの母テ・スミ(ジン・ギョン)。ヨンウは彼女が自分の母だと知らないが、エピソードが進むにつれて関係が明らかになっていく。

エピソード1では、ハンバダ訴訟チーム事務員のイ・ジュノ(カン・テオ)が、回転ドアが苦手なヨンウを助けるシーンがある。この「ズン チャ チャ」で心を掴まれた方は多いはず。もちろん、ヨンウとジュノの恋愛が実るのかも見どころである。


出典:シーズン1のエピソード1

「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」では、取り上げられる事件の内容も結構本格的で面白い。

例えば、エピソード2(「脱げたウェディングドレス」)では、結婚式の最中に新婦のウェディングドレスがずり落ちて脱げてしまう。これにより、背中の観音菩薩のタトゥーが顕わになったこともあり、結婚が白紙になったことを理由にドレスを手配したデヒョンホテル(新郎は同じグループのデヒョン建設の社長の息子)に対して新婦が損害賠償請求をすることになる。

新郎と新婦をつなげたのは敬虔なクリスチャンである新郎の祖父であり、祖父がタトゥーを見て裏切られたと感じて結婚のとりやめを要求したのだ。ヨンウは新婦(依頼者は新婦の父)を代理する。

ホテルは解決案として結婚式費用(2億3000万ウォン)の返金と1000万ウォン相当のクーポンをオファーする。ハンバダは慰謝料請求ではおよそ難しいと思いつつも、カンカンに怒り、最低10億ウォンを請求したいという新婦の父の依頼を引き受けることになる。

新婦がホテルに請求できる賠償金額はどうなるのか? このエピソードでは「通常損害」と「特別損害」がポイントになる。

「通常損害」とは通常生ずべき損害のことをいう(契約違反があったら通常生じるだろう損害)。また、「特別損害」は特別な事情によって生じた損害のことをいう。日本の民法でも基本的に同様の考え方がある。

ヨンウが閃く。結婚の際に新郎の祖父から新婦に332億ウォンの土地を贈与する約束をしていた。これは、特別な事情であるから、特別損害を主張できるのではないか。ホテルもこの約束を知っていた。果たしてこのケースの結末は?

シーズンを通じて、自閉スペクトラム症に対する社会の無理解、熾烈な受験戦争、女性のキャリア形成における差別といった韓国社会の課題も描かれる。
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文=本村剛大

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