エピソード12(「ヨウスコウカワイルカ」)では、原告弁護士と被告弁護士(ヨンウを含めハンバダ側)が第一審判決(原告敗訴)の後に、ともに原告代理人弁護士の法律事務所の屋上で打ち上げをするシーンがある。これは現実的にはないと思うシーンである。控訴審もありうるなかでお互いの依頼者に不信感が生じてしまうだろう。
また、個性的な裁判官が描かれるのも弁護士モノの面白いところだ。本貫(祖先の発祥の地のことで)にこだわり、必ず尋ねる裁判官リュ・ミョンハ(イ・ギヨン)が登場する(エピソード6、エピソード12)。
ヨンウの相手方になるリュ弁護士(豊山リュ氏)は、リュ裁判官(豊山リュ氏)と同じ本貫であり、リュ弁護士は26代目、リュ裁判官は27代目ということで、リュ裁判官はタジタジに。このあたりは韓国の独特の文化である。
出典:シーズン1のエピソード12
シーズン1のラストでは、再びオフィスビルの回転ドアのシーンが登場する。「ズン チャ チャ」とリズムをとりながらヨンウが回転ドアを自力で進むシーンによって、シーズン1を通じて、1歩進んでは1歩下がるという過程を経ながら、確かな1歩を踏み出したヨンウの成長が象徴的に描かれる。
出典:シーズン1のエピソード16
なお、「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」はシーズン2の制作が予定されているようなので、いまから楽しみだ!
「グッド・ワイフ」(2009年〜2016年)シーズン1~7
出典:huluウェブサイト
1作品だけおすすめの弁護士モノの海外ドラマをあげろと言われれば、迷わず「グッド・ワイフ」である。シーズン7まである「長旅」だが、筆者は通しで3回は観ている。日本版リメイクもあったので、名前は知っている人も多いかもしれない。現在、日本ではhuluで配信されている。ちなみに「セックス・アンド・ザ・シティ」のミスター・ビッグ役で一躍有名となったクリス・ノースが夫役を演じている。
舞台はシカゴのロックハート・ガードナー法律事務所。クック郡州検事の夫ピーター・フロリック(クリス・ノース)を支える妻である主人公で元弁護士のアリシア・フロリック(ジュリアナ・マルグリーズ)は家庭に専念していたが、夫の女性問題スキャンダルで13年振りに職場復帰することになる。
出典:シーズン1のエピソード1
ブランクのあるアリシアは法律事務所の面接で苦戦するが、学生時代の友人ウィル・ガードナー(ジョシュ・チャールズ)に出会う。ウィルの尽力によってアリシアは、ロックハート・ガードナーにアソシエイト弁護士として入所し、さまざまな事件を担当していく。
「グッド・ワイフ」は、法律事務所内の出世競争、パートナーへの昇進、法律事務所の経営危機、分裂、独立、合併などが描かれ、結構リアルである。アリシアとウィル、調査員ジェイソンとのロマンスもあり、いわば弁護士モノの全部のせ、盛りだくさんのドラマと言ってよいだろう。シーズン5の後半には大事件が起こるが、何度観ても泣ける。
ドラマ全体を通じて、アフリカ系アメリカ人差別(Black Lives Matter)、陪審制度、代理母、不正選挙といった多様なテーマも取り上げられている。