ビジネス

2022.12.01

ソニーグループをデジタル改革で鼓舞する司令塔の策とは

ソニーグループ常務CDOの小寺 剛(左)と植野大輔(右)


植野:グループ会社がいろんなコアコンピタンスをもち寄って、多角的に未来の兆しを見られるソニーの体制は、よく考えるとすごいですね。

小寺:近年は「ビジョン経営」がもてはやされていますが、私は少しデンジャラスだと感じるんですね。1つだけのビジョンを携える経営は、いまの時代にそぐわないんじゃないかと。

植野:いろんな未来があっていい。

小寺:社会がダイナミックに変わっているなか、ここぞというとき、一気にスピード感とスケーラビリティをもって取りにいく。そのためにも、いまのうちから環境を整えようと思っています。

植野:ネットワーク時代の戦ができるよう、武器を磨き上げておき、好機で一気に仕留めにかかる!

小寺:そんなイメージです(笑)。おそらくデジタルトランスフォーメーションこそ、その準備に最も貢献できる手段のはずですから。

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「CxO」のビジョン、三カ条(小寺剛)


一、グループ各社の成長を助け、「組織的な力」をつなぐ
二、資産や人材を「データ」で把握し、有効に利活用
三、計画しすぎない、経営陣が「好機」への意識を共有

(※1)PlayStation Network(PSN):ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が運営するアカウント制オンラインサービス。2006年11月、ゲーム機PlayStation 3(PS3)向けに開始。15年にはSony EntertainmentNetworkの映像配信や音楽配信サービスと統合。チャットやコミュニティ機能などSNS的な役割も担う。

(※2)ソニーグループ:ソニーは2021年4月、グループ本社機能に特化した会社としてソニーグループに商号変更。同時に、ソニーの商号は祖業であるエレクトロニクス事業が継承した。

(※3)吉田憲一郎:ソニーグループ取締役代表執行役会長兼社長CEO。1959年、熊本県生まれ。2014年ソニー(現ソニーグループ)取締役代表執行役エグゼクティブ・バイス・プレジデントCFO、18年同社取締役代表執行役社長兼CEO。20年より現職。

(※4)平井一夫:ソニーグループシニアアドバイザー。一般社団法人プロジェクト希望代表理事。1960年、東京都生まれ。2007年ソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)代表取締役社長兼グループCEO。12年ソニー(現ソニーグループ)取締役代表執行役社長兼CEO。18年同社取締役会長。19年より現職。


こでら・つよし◎1969年、兵庫県生まれ。92年ソニー入社。98年より12年間、米ソニー・エレクトロニクスで事業企画、コンシューマーAV、ITプロダクトを担当。2013年ソニー・ネットワークエンタテインメントインターナショナル(SNEI)プレジデント。17年ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)社長兼CEO。18年ソニー(現ソニーグループ)常務。21年4月より現職。趣味はサーフィン。

うえの・だいすけ◎DX JAPAN代表。名古屋商科大学ビジネススクール(NUCB)客員教授。早稲田大学政治経済学部卒、MBA、商学研究科博士後期課程単位満了退学。三菱商事入社、ローソンへ出向中はPontaカードなどのDXを推進。ボストンコンサルティンググループを経て、ファミリーマートへ。ファミペイの垂直立ち上げなどDXを統括・指揮。

文=神吉弘邦 写真=有高唯之

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