NTTドコモは、Web3.0新時代にどう立ち向かおうとしているのか。大型投資から内情を探った。
iモード大成功から遅れ Web2.0の成果は?
これまでNTTドコモはインターネット・プロトコルの覇者だったのだろうか。私見としては「否」と応えたい。
Web1.0時代において、1996年にサービスをスタートさせたYahoo! Japanや、97年創業の楽天がいち早く飛び出し現在の隆盛を築き上げたのに対し、グループとしてgooをスタートさせたものの、世間の耳目を集めるようなサービスの構築は為し得なかった。もちろん、1999年にスタートさせたiモードは大成功を収め、日本市場におけるフィーチャーフォン、俗に言うガラケーの爆発的な普及をもたらした点は、特筆すべきだ。
だが一方で2007年にスマートフォンが登場すると、Yahoo!や楽天はそれに乗じサービスを続伸させたのに対し、iモードは駆逐されガラケーとともに衰退の道を進んだ。時代は瞬時に入れ替わり、スマートフォン上で機能するLINE、Facebook、Twitter、Instagram、TikTokなどなどのSNSプラットフォームが隆盛、Web2.0時代を席捲した。ドコモとタッグを組んでいた日本メーカーは、iOS、Androidに遅れを取り、スマートフォン向けOSで後塵を拝し、現在に至る。
ドコモは通信事業者として、日本における通信インフラを掌握していたがゆえ、逆にスマホ普及の恩恵により、もはや新規ビジネスを立ち上げずとも莫大な日銭が入り込むようになってしまった。このためWeb2.0時代に目立ったサービスは皆無だったとして良い。本業の収益があまりにも大きいため、新規ビジネス開発の妨げとなっていた。2020年にサービス開始となった5G時代に向け、各種新企画が浮上したもののdポイントによる商圏確立とフィンテック領域以外に着手したサービスは乏しく22年の今日をもっても、誰もが知るようなサービスは着地していない。
これに業を煮やしたわけではないだろうが、持株会社NTTはグループの再編に乗り出した。2020年9月にはドコモを完全子会社化。これまでドコモ出身の社長を輩出して来たが、同年12月より持株会社出身の井伊基之社長が就任するに至った。海外においては、NTTデータ、NTTコミュニケーションズ、ディメンションを統合、「NTT」ブランドに統一を図った。
Web3.0大型投資から探る、ドコモのターゲット
近年ブロックチェーン技術を使った仮想通貨やNFTなどの言葉が浸透し、時代はWeb3.0に突入したと囁かれるようになった。これまでのところドコモは新時代における具体策を持っていなかったが11月8日、2022年度第2四半期決算会見において今後、Web3.0活用に向け5~6年の間に5000億円から6000億円の投資を行うと発表した。