中国で大規模な抗議デモ、ゼロコロナ政策が感染抑制に失敗

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11月28日、中国でパンデミックが始まって以来初めて4万人を超える新型コロナウイルスの新規感染者が報告され、同国の厳しい「ゼロコロナ政策」の有効性に疑問符がついた。週末にはいくつかの都市でゼロコロナ政策への抗議活動が起こった。

中国の国家衛生健康委員会は28日、有症状および無症状の新規患者は4万347人と発表し、中国の1日の新規感染者としては過去最多となった。

感染者の急増は、中国が新たな感染拡大を抑制する方策として厳しいロックダウンと繰り返し実施されている集団検査に頼り続けている中でのものだ。こうしたアプローチは全国で稀に見る抗議を引き起こしている。

ロックダウンと集団検査に重点を置いているため、中国では高齢者など社会的弱者のワクチンやブースターの接種率は依然として非常に低い。

国営新聞チャイナデイリーによると、中国では80歳以上の高齢者の65.7%しかワクチン接種(2回)を受けておらず、ブースター接種を受けているのはそのうち40%に止まるという。

米ワシントン・ポストによると、中国の高齢者の接種率が低いのは、ワクチン接種の対象を19〜60歳に限定するという当初の政策に起因するという。

また、感染者が急増し続ければ、準備不足の医療システムを急速に圧迫する可能性があると、複数の保健当局者は先週警告した。そのうちの1人は、中国の集中治療室のベッド数は人口10万人に対して4床以下だと指摘した。

27日に米テレビCBSニュースの報道番組『Face the Nation』に出演したアンソニー・ファウチ博士は、中国の問題は「効果のあるワクチンを持っていない」ことと、より効果の高い外国製ワクチンを承認しないことに起因していると述べた。中国の人々は、国産のSinopharm(シノファーム)とSinovac(シノバック)のワクチンを接種している。Moderna(モデルナ)とPfizer(ファイザー)が製造したmRNAワクチンを承認しない理由について、中国は「脆弱な人々に強力な予防効果をもたらす一方で、効果的なブースターとなるかもしれない」としている。
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翻訳=溝口慈子

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