経済・社会

2022.11.29 13:30

中国で大規模な抗議デモ、ゼロコロナ政策が感染抑制に失敗


現在、中国が直面している感染者の急増は、主にワクチンの効果を著しく低下させる可能性のある、極めて感染力の強いオミクロン株によるものだ。香港の日刊紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、オミクロン株感染者の大半は軽症であるため、専門家は重症者の治療に重点を置くようアプローチの変更を求めている。これは、ウイルスの蔓延を抑制することに注力してきた中国政府のアプローチの転換を要するものだ。感染力の強い変異株が次々に出てくる中で感染拡大を抑制するのは難しい。

ロックダウン下のウルムチの高層住宅で火災が発生して10人が死亡した後、中国国内のいくつかの都市では、政府の厳格なパンデミック対策に反対する市民主導の前例のない抗議デモが起きている。ウルムチの事件は、区域や建物をバリケードで封鎖するといった厳しいロックダウンの継続に対する怒りに火をつけた。こうしたバリケードが火災が発生したビルからの人々の脱出や、消防士の救助活動を妨げたのではないかと多くの人が疑った。

上海や首都北京などの都市では、ゼロコロナ政策を声高に支持する習近平国家主席とその政権に怒りを向けるデモ参加者もいた。厳しいロックダウンは中国国内でのウイルスの局所的な広がりを効果的に抑えることはできなかった一方で、経済的な問題や食料不足を引き起こし、新型コロナ以外の医療を受けられないといった事態を招いている。

中国政府は、各地で起きた週末の抗議行動に対して公式には反応していない。デモ参加者の多くは習近平に直接責任があるとし、辞任を要求している。このため、先月異例の3期目をスタートさせた習近平にとってデモは大きな試練となっている。

地方レベルでは、北京市当局が論争の的だった区域や建物の人の行き来を遮断するための障壁を撤去し、規制を一部緩和するなど、反応はまちまちだ。にもかかわらず、ロイター通信によると、新たな抗議行動を阻止するため、北京と同国最大の都市である上海では警察官の配置が増強されたという。しかし、国営の人民日報の社説は「ゼロコロナ」政策が今後も続くと示唆した。AP通信の翻訳によると「これまでの予防と管理計画が実践の試練に耐えてきたことは事実が完全に証明している」と指摘している。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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