プーチンだけでなく習近平もトランプを懐かしむ、中国に厳しい米バイデン政権

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バイデンの中国に対するアプローチの賢明さについては、地政学の専門家たちが議論を交わすだろうし、実際にそうしている。特に、インフレの高まりはバイデンにとって格好の口実となるため、トランプの効果のない関税を廃止しなかったことは依然として不可解だ。バイデンは、米国が主導し、トランプが拒否した経済連携協定の環太平洋パートナーシップ(TPP)に再加盟しないという決定を下したが、これは明らかに自分で自分の首をしめるものだ。

しかしトランプは多くの点で習近平を楽にしたことを忘れてはいけない。2017年から2021年初めまで、トランプの貿易戦争は中国に対する世界的な同情を生んだ。トランプの反中レトリックは、習近平が国内で権力を固め、世論をあおるのに役立った。新型コロナウイルス感染症のパンデミックの中、中国政府に対するトランプの外国人嫌いの辛辣な言葉は、武漢の役人に新型コロナの責任を取らせるための世界的な支持を分断した。

それから、トランプは自国経済に対して愚かな行動を取った。同盟国を次々と失った。新型コロナに対するトランプの悲惨なアプローチは、米国の成長と米政府の世界的地位を後退させた。連邦準備制度理事会に対するトランプの攻撃は中国元などドル以外の通貨を勢いづかせた。

あなたがバイデノミクスをどう思おうが、米国は中国にポイントを与えていない。もしポイントを与えているとすれば、それは稀な誤爆であり、毎週のように誤爆の連鎖が起きているわけではない。

ロシアの攻撃によるウクライナの苦境をめぐってバイデンが築いた連合は、習近平の「戦狼外交」を不安定なものにした。習近平のプーチンへの見苦しいまでの支援は中国を孤立させ、世界情勢における利害関係者の役割を果たす気がないように思わせた。また、この紛争が飛び火して台湾に対する世界的な支持が強化された。

プーチンはもちろん、ロシア政府が何度も翻弄した政治初心者のトランプを恋しく思っているに違いない。トランプがまだ大統領の座にとどまっていたら、米国はウクライナをまったく助けていなかったかもしれない。サウジアラビアでは、MBSと呼ばれる同国の指導者モハメド・ビン・サルマンも古き良きトランプ時代を懐かしく思っている。
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翻訳=溝口慈子

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