高城:我々が政府や大企業に預けたものを取り戻すというのが、民主社会主義の基本です。今までの資本主義って、実は名を変えた新自由主義で、合理的であれば何でも良かった。さらに言うと市場主義なんですよ。社会システムまでが株主中心的になる。一方、民主社会主義はというと、市民主義なんですよね。
四角:まさに、非人道的な市場主義から、人間的な市民主義へのシフト。いい動きですね。
高城:しかし、市民主義って言われても、一つの単位が国だと大きい。だから市民。つまりリサイズを求める反中央集権なのです。そこでインターネットがカギになる。
インターネットはもともと、核戦争が起きた時にサーバーのデータが一つだと全部やられてしまうリスクから、分散しようということで生まれたんです。それが商業化されて今日のインターネットになった。つまりインターネットは分散が基本。これと同じように社会システムを分散するのが、次の時代の大きなテーマとなるでしょうね。
四角:中央集権を分散させるムーブメント「ミュニシパリズム(自治体主義)」がその筆頭ですね。日本が民主社会主義に動く可能性はありますか?
高城:残念ながら、日本ではそれが起きない。なぜならシルバー民主主義だから。
四角:超高齢化社会で人口は減る一途で、ミレニアルズとZ世代が過半数以上を占めることがない。解決策はないんですか。
高城:一つ可能性があるとすれば、首都圏直下型地震です。もう無血改革はないんですよ。不謹慎かもしれませんが、首都圏直下型地震が起きると、必然と地方分権のような分散化が起きるでしょう。
だから今、僕らが考えなきゃいけないのはメタバースの世界ではなくて、首都圏直下型地震が起きた後、東京以外でどうやっていくのかということ。今後30年の間に、70%の確率で起こると言われてますからね。
四角:たしかに東日本大震災の後、スマホとSNSが飛躍的に普及して、大手の通信会社や広告代理店、マスメディアが独占していたコミュニケーションの権限が分散化した。
その3.11の前年、高城さんに「日本に何かあった時のために、ニュージーランドに箱舟を作ってほしい」と言われたことを今でも覚えています。
その時から高城さんの頭の中には「分散」というキーワードがあった。実際コロナパンデミックの前から、アメリカの超富裕層たちがニュージーランドで自給自足ができる土地を買い、地下シェルターを作っているんですよ。
高城:そういう複数拠点を持つ動きは今後ますます加速するでしょうね。資産、仕事、生活、宗教でさえ分散が基本になっていく。これからは、2つの宗教を信じる人もいっぱい出てくると思います。
四角:まさに分散こそが大変革時代のサバイバルワードですね。何がカギとなりますか。
高城:これはデジタルの基本でもあるんですけど、できるだけ素早く動くことが大切です。それがこの時代を生き抜くコツ。じゃあ早く動くためにはどうすればいいかというと、モノを減らし、すべてを軽くすることに行き着きます。
僕はその一環として、トラベル&サバイバルを目的としたバッグをメルマガ読者向けに提供してきましたが、今は「人が入るカバン」のようなものを開発しています。