ビジネス

2022.11.17

スモール・ジャイアンツ 前日祭を開催。中小企業の新規事業や採用問題、どうしてる?

セッション2の様子(アワード前日祭動画より)


「スキル」を重視した採用は失敗しがち?


続いて行われたセッション2は、「採用難!強い組織を作るために経営者はどう行動すべきか?」をテーマに行われた。ウォンテッドリーのPublic Affairs 地方創生責任者である村岡健太と、2021年大会受賞者でメトロールの代表取締役社長である松橋卓司、2021-2022年大会の受賞者で大和合金の代表取締役社長である萩野源次郎、セッション1に続いて山田岳人が参加。司会進行は引き続き、谷本有香が務めた。

中小企業にとって大きな課題である採用や人材育成。強い組織を作るために、経営者はどう思考してどう行動すべきなのか、また採用応募が来る会社にはどんな秘密があるのかについて語り合った。

強い組織を作る上では、採用のミスマッチは避けたい課題。求人情報ウェブサイトを運営するウォンテッドリーの村岡は、「人柄ではなく、スキルを重視している採用は失敗が多い傾向にある」と語る。


ウォンテッドリー 村岡健太

さらに、人間がスムーズかつ安定的に関係を維持することができる人数を150人程度とする、1990年代にイギリスの人類学者ロビン・ダンバーが提唱した理論であるダンバー数を例示。「規模が大きくなれば、社長が直接把握する社員は数十人にし、直属の部下がまた数十人を把握するといった組織をつくれるかどうかが重要」と説いた。

高精度工業用センサーの専門メーカーであるメトロールでは、かつて8名を新卒採用し、7名が退職した過去もあったという。社長の松橋は当時について、「既存社員と新卒社員の融合ができなかった」と振り返る。


大和合金 萩野源次郎(左)、メトロール 松橋卓司(右)

「かつては体育会系のような雰囲気があったが、それを避けたがる社員もいる。とはいえ、フラットな組織にしても問題は起こった。そこに気づいてから、相手のありのままの考えを受け取るキャッチボールのようなコミュニケーションを、社員一人ひとりがしっかりできるようトレーニングをするようにした」と明かした。

特殊銅合金メーカーである大和合金は現在、地元の若手や大手企業出身の技術者、海外人材などが続々と入社し、1.3%という離職率の低さも話題となっている。人材定着の秘訣について、同社社長の萩野は、「入社前にインターンシップ期間を過ごすことで、社風や文化に自分が合うかどうかを肌で感じられるからこそ、ミスマッチが少ないのではないか」と語る。

「ただ、短期間ではわからないことも当然ある。高校や大学の先生たちが、成績ではなく会社に合うかどうかで生徒を推薦してくれているのも大きい」と萩野。ほかにも社員の親類が入社するケースも多く、既存社員が保証人のような役目も担っているという。「だからこそ、今いる社員に尽くすことが重要」と話した。
次ページ > 事業転換に成功した大都の場合

文=小谷紘友

ForbesBrandVoice

人気記事