キャリア・教育

2022.11.26 19:00

罪悪感は持たなくていい。働く女性の悩みに紐づく社会構造とは?丨ジャーナリスト 浜田敬子

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たとえば2018年に発覚した医学部不正入試問題。複数の大学の医学部受験で女子を不利に扱った、この背景には、昼夜問わず稼働が求められる過酷な医療の現場で、育児をする女性がなかなかローテーションに入りづらい現状がある。女性がいると男性医師の負荷が増えるという理由で入り口で差別をしたわけですよね。
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企業においても同様のことが起きていたのではないでしょうか。人事担当の方からはよく「採用試験のペーパーや面接では女性のほうが優秀なんだよね」と聞くけれど、実際に蓋を開けてみると、男女半々あるいは女性が過半数採用されている企業はほとんどない。何かしらの調整がなされているわけです。

つまり女性は出産をしたらこれまでと同じようには働けないだろう、全国転勤も難しいだろう、配偶者が転勤になったら辞めてしまうのではないかといった無意識の偏見「アンコンシャスバイアス」が働いているんですね。

実際に出産や夫の転勤を機に、働きたくても働き続けることができず退職を余儀なくされてきた女性たちも大勢います。その集積が、女性は退職しやすい、在職年数が短いといった統計データとして現れてくる。そしてその統計をもって採用を抑える「統計的差別」がなされているわけです。
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アンコンシャスバイアスや統計的差別に基づいた調整が、女性の採用、昇進、抜擢、あらゆる場面で働いている。それが、男女雇用機会均等法の施行から30年以上経った今の現状だと私は感じています。

ジェンダー後進国、日本。女性管理職が圧倒的に少ないのはなぜ?


そしてその結果が、世界経済フォーラムが毎年発表している「ジェンダーギャップ指数」にも現れています。2022年、日本は146カ国中116位で相変わらず(2021年は165カ国中120位)ジェンダー後進国です。「経済」「政治」「教育」「健康」の分野から評価されるんですが、特に経済分野は121位、政治分野は139位と低迷しています。



経済分野の話をすれば、役員や管理職、指導的立場にいる女性の比率が極めて低い。女性の管理職比率は、欧米諸国が30%程であるのに対し、日本は部長クラスが8.4%、係長クラスでやっと10.8%です。中には女性活躍推進に力を入れている企業もあります。たとえば、フランスに本社があるグローバルカンパニーの日本法人「日本ロレアル」は、女性管理職率が50%を超えている。ですが日本企業の多くは、女性管理職比率が10%を切る状況を打破できずにいるんですね。
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文=徳 瑠里香 イラスト=遠藤光太

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