そうしたライフスタイルにおいて、「なんとなく」ではなく、より積極的、あるいは戦略的にウェルビーイングの要素を取り入れると、ライフスタイル産業はどう変わっていくだろうか。
9月20日、東京ミッドタウンで開催された「Wellbeing Lab 2022」(9月17日~25日)の一環としてトークセッションが行われ、ファッションブランド「ロンハーマン」の三根弘毅プレジデントとライフスタイルメディア『OCEANS』の江部寿貴編集長が登壇。ウェルビーイングという視点から見る「あたらしい消費経済」について語った。
二人の出会いは、ロンハーマンが日本に上陸した2009年。三根をはじめとするメンバーが、『OCEANS』編集部を訪れたのが初対面だったという。
「行商のように商品をダンボールいっぱいに入れて持ってきてくれて、それを編集部員みんあで着用したのを覚えています」と江部が話すと、三根は「江部さんがわざわざパンツ一丁になって着替え、『どの服も素敵ですね』と言ってくれた言葉が心に残っています」と、振り返った。
以降、ロンハーマンは『OCEANS』にとってのひとつの拠り所にもなっているようで、江部は、「当時、鳴かず飛ばずだった雑誌が、ロンハーマンのおかげで成長できた。迷ったときは、ロンハーマンのような雑誌を作ろうと立ち返ります」と明かす。
ウェルビーイングに関しても、ロンハーマンは多くのインスピレーション源となっている。例えば、店舗において、性別に偏りなく商品が陳列されることは当時では珍しく、“子供のためのお絵描きスペース”まで用意されていたことには強烈な印象を受けたという。
「それまでの買い物は服を買うことが楽しかったが、ロンハーマンの店舗に行くこと自体が楽しいと思えた。隅々まで世界観が表現されていて、店に入ってから出るまで、東京にいることを忘れるほど。駐車場を出るまでハッピーでいられる」(江部)
その店づくりについて三根は、「前職の百貨店でのバイヤー時代は売り上げを作って予算を達成することばかりに追われていたけれど、もっと大事なことがあると考えていました。家族で来店して楽しく買い物をして、元気になる。ロンハーマンに来たら幸せな気持ちになってもらえるような店舗にしたかった」と語る。内装から接客に至るまで、徹底して“訪れた人を幸せにする”という思いを込めているという。