ビジネス

2022.11.04 19:00

富山「消滅可能性都市」が進める先進事業 起業家教育や送迎のDX


新たに提供される3つの事業


今回のデジタル田園都市構想の社会実装で、新サービスとして住民に提供されるのは「みんまなび」「こどもノッカル」「教育DX」の3つだ。
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「みんまなび」は、アプリ上で住民などが教えたいことや学びたいことを登録して、実際に教室を開き、互いに学び合うというもの。子どもたちに自然とのふれあいを教える自然教室や、高齢者にデジタルデバイスの使い方を教えるスマホ教室など、住民の知識や経験を活かした共教育を目指す。

「こどもノッカル」は、上記のノッカルあさひまちを、子ども向けのスイミングスクールの送迎に特化させたサービスだ。2日には出発式も行われた。実際に送迎に使用する車には「ノッカル」のプレートを貼り付ける。

こどもノッカル
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また「教育DX」は、タブレットを使用しながら地域の課題解決を学ぶという社会起業教育プログラムだ。朝日町では2023年度から起業家教育を開始する予定で、町内2つの小学校の6年生と中学2年生が対象で、すでに小学校では、効果検証も兼ね10月から「総合」の時間を使って授業を行っている。

この授業では4〜5人でチームを組み、地域の困りごとの発見、課題解決のアイデアの考案、そしてそれらのプレゼンテーションなどを10時間にわたって学んでいくという。2日に行われた公開授業では、これまでのアイデアをブラッシュアップした。各チームに1人ずつ博報堂の社員がオンラインで配置され、学生へアドバイスを送った。



課題解決の手法を全国へと


博報堂は、広告事業で築いた人脈を活かす新たな未来投資として、この朝日町の取り組みに参画している。前述の11月2日の記者発表に登壇した、同社執行役員の青木雅人氏は「DXという名のついたプロジェクトは数多存在しますが、業務の効率化にとどまっているケースが多くみられます。これからは車や店、街全体がデジタル化する『生活のDX』が進んでいくと捉えています」と述べた。

また朝日町の笹原靖直町長は次のように抱負を語った。

「消滅可能性都市である朝日町が抱える課題を先進的に解決し、その手法を全国に展開していくことで、近い将来、朝日町同様の課題を抱える自治体の一助としたい」

地域が持つ人や車といった資産を有効活用し、コストを抑えながら事業を生み出している朝日町。DXによるデジタル田園都市構想の社会実装は始まったばかりだが、すでに他の地域でも参考にできる、持続的な地域づくりのロールモデルになり始めているのではないだろうか。

文=露原直人 編集=稲垣伸寿

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